前回の記事では、愛犬のためのドッグフードの選び方について、基本的かつ効果の高い3つのポイントをご紹介してきました。
今回の記事では更に一歩進んで、愛犬の【 栄養バランス 】に着目したドッグフードの選び方をご紹介します。
愛犬の体質や年齢に伴い、ドッグフードも切り替えが必要な時期があります。
大切なその時期のために、栄養学の観点からドッグフードの選び方を知っておきましょう。
犬に必要不可欠な6つの栄養素
犬たちが健康に生きていくために必要な栄養素があります。
まずはその栄養素についてご紹介します。
ピラミッドの下に行くほど摂取量がたくさん必要になります。
それでは一つずつ見ていきましょう。
■ 犬に不可欠な6つの栄養素
・タンパク質・・・筋肉や臓器、骨、被毛など全身の組織を作る素
・脂肪・・・皮膚や被毛の健康維持に必要、脂溶性ビタミンの吸収を妨げる役割をしている
・ミネラル・・・血圧、体温、神経、筋肉の収縮などの機能を正常に保ってくれる
・ビタミン・・・エネルギーを代謝する補酸素、止血、細胞膜の保護などの体の調子を整える役割を持っている
・炭水化物・・・糖質はエネルギー源になり、食物繊維は腸の刺激して正常な腸の働きを維持してくれる
・水・・・最も重要な栄養素。犬は体内の水分を15%と失うと生きていけないので水をこまめに飲ませるのは大切
ちなみに大切なことですが、犬にとって炭水化物は必ず摂取しないといけない栄養素ではありません。
人間用の食材を与えるのも摂取量過多になるのと、調理済みの食事は犬にとって不要な成分(塩分や砂糖など)を含んでおり好ましいとは言えません。
しかしタンパク質と脂質だけで1日に必要なエネルギーを補おうとすると、タンパク質と脂質が1日に必要とする摂取量を超えてしまいます。
そのため、炭水化物を含む3つの栄養素をバランスよく摂取するのが理想とされています。
総合栄養食の表示があるドッグフードは、犬の体に必要な栄養がバランスよく調整されて含まれています。
そのため指定の分量を食べさせていれば栄養の過剰・不足の心配はありません。
栄養素の観点から見るドッグフードの選び方
基本的に良質なドッグフードは上記の成分がバランスよく配合されているため、体にとって悪影響を及ぼすものではありません。
ここからは愛犬の体質と年齢などを考慮してドッグフードを選ぶとよいでしょう。
持病がある
持病やあり、獣医師さんから指示がある場合は、指示があった栄養素を多く含むもの(あるいは少ないもの)を選択するようにしましょう。
タンパク質の過剰摂取は涙やけの原因となることがあるため、タンパク質の含有量が比較的少ないものを選ぶ、といった工夫が必要です。
各成分の含有率はドッグフードのパッケージに記載があるので、その情報をもとにドッグフード選びを進めていきましょう。
シニア期に差し掛かり、体質が変化してきた
シニア期の犬は体に必要な栄養素のバランスも変わってきます。
シニア用のドッグフードはそうした事情も加味して生産されているので、基本的にはシニア用のフードを選ぶようにすれば問題はないです。
ミネラルやビタミンが多く、脂質が少なめのフードを選ぶなど、愛犬の体質に合ったフードを選ぶようにしましょう。
かかりつけの動物病院に相談する
かかりつけの動物病院の獣医師さんに相談してフード選びを行うことも一つの方法です。
動物病院によってはオススメのフードを指定されることがあります。
また反対に、手作りの食事を推奨し、ドッグフードを犬に与えることを反対する獣医師もいます。
ここら辺は取捨選択の問題ですが、愛犬の個別の事情に最大限配慮したアドバイスをくれる獣医師を選んで相談することが大切になります。
ドッグフードの栄養補助になるプラスαの食材たち
基本的に犬の食事はドッグフードだけで十分ですが、フードに少し追加すると、体に良い食材や成分もあります。
一体どのようなものでしょうか。
ドッグフードは是非皆さん自身で選んで頂きたいので、本記事では当サイトで推奨する特定の製品は掲載しておりません。
その代わりというわけではありませんが、栄養補助食品についてはオススメの商品を一部ご紹介します。
犬の栄養補助になる食品①: 肉や魚
肉や魚に含ませる動物性タンパク質は犬の食事から補う必要がある10種類の必須アミノ酸がバランス良く含ませています。
アミノ酸は筋肉や皮膚、被毛、神経、ホルモンなど、体の維持に必要不可欠な成分です。
フードにも含まれていますが、トッピングで追加すると、食欲アップにも効果的です。
犬の栄養補助になる食品②: オメガ3オイル
健康維持には良質な油の摂取も大事です。
おススメは亜麻仁油や魚の油に含まれるオメガ3です。
オメガ3には皮膚の被毛の健康維持に欠かせない脂肪酸(油の成分)で体内の炎症を抑える作用があります。
皮膚炎や毛のパサつきの改善、間接痛の緩和、血管の健康維持など、様々な効果が期待できます。
少量で十分なので、小型犬ならティースプーン1/2~1杯をフードにかけて与えてみて下さい。
こちらの商品はかなり売れているようです。
犬の栄養補助になる食品③: 乳酸菌・オリゴ糖
免疫力の低下を防ぐには、乳酸菌やオリゴ糖のフードがおすすめです。
免疫細胞の7割は腸に存在しているため乳酸菌やオリゴ糖を摂取して腸内環境を整えると、免疫力アップが期待できます。
食材ではヨーグルトやリンゴ、バナナなどがおすすめです。
与えすぎるとお腹を壊したり肥満の原因にもなるので少量にとどめておきましょう。
また与えた分はフードの量を減らすことを忘れないようにしてください。
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ドッグフードの栄養バランスをチェックしてみましょう
犬のごはん塾様のサイトより引用・一部加工させて頂いたデータのご紹介です。
愛犬に与えるドッグフードに含まれている栄養素の中で代表的な成分の含有率の目安となっています。
ドッグフード選びの参考になさって下さい。
表にある栄養素のうち、タンパク質と脂質はAAFCO(米国飼科検査官協会)で最低必要量が設定されています。
タンパク質は、子犬22.5%、成犬18% 脂質は、子犬8.5%、成犬5.5%となります。
この数値をクリアしていれば、基本的には愛犬の好みや体質に合わせてフードを選んでも大丈夫です。
ただ、フードの見直しを考えている場合は上記の表を参考にしてみて下さい。
■ 愛犬の体質別フード選びの基準・肥満気味・・・カロリー、脂質控えめ
・痩せ気味・・・カロリー、脂質多め
・食欲旺盛・・・カロリー控えめ
・子犬・・・カロリー、タンパク質、脂質多め
・シニア・・・カロリー、脂質控えめ、繊維3%以上
・便秘気味・・・繊維3%以上
【 栄養学で見る 】犬にとって必要な栄養素から選ぶドッグフード まとめ
いかがでしたでしょうか。
愛犬のためのドッグフード選びは楽しくもありますが、苦労されている飼い主さんも多いのが実情です。
ドッグフード選びの答えは一つではありませんから、『うちの子』に合った様々な方法を試行錯誤していくと思います。
この記事では、犬にとって必要不可欠な栄養素の観点から、ドッグフード選びに必要な情報をご紹介しました。
前回の記事はドッグフード選びの重要かつ基本的なことについて触れていますので、本記事と合わせて読んで頂けると嬉しいです。
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