犬も人間同様認知症になることがあります。
認知症というとネガティブなイメージを持たれるかもしれませんが、飼い主さんがちゃんと理解をすることで、愛犬と充実したシニア期を過ごすことができます。
そのためには飼い主さんが認知症という病気の知識を持ち、しっかりと向き合うことが大切です。
この記事は、認知症に気が付くための10のサインについてご紹介します。
- 1 犬の認知症とは
- 2 犬の認知症のサイン①: 寝ている時間が増える
- 3 犬の認知症のサイン②: 食べこぼしを見つけられなくなる
- 4 犬の認知症のサイン③: 飼い主さんの呼びかけに応じなくなる
- 5 犬の認知症のサイン④: 指示やしつけに従わなくなる
- 6 犬の認知症のサイン⑤: 粗相が増える
- 7 犬の認知症のサイン⑥: 歩行困難になる
- 8 犬の認知症のサイン⑦: 食事は摂っているのに痩せてくる
- 9 犬の認知症のサイン⑧: あちらこちら歩いたりグルグルと歩いたりする
- 10 犬の認知症のサイン⑨: 夜鳴きする
- 11 犬の認知症のサイン⑩: 部屋の隅・隙間などから出られなくなる
- 12 認知症をなるべく予防するために
- 13 【 ひょっとして認知症かも 】犬の認知症10のサインを知ろう まとめ
犬の認知症とは
犬の認知症は、加齢により脳の機能が低下して生活に影響が出る状態です。
夜鳴きや徘徊などの症状が出ることもあります。
高齢になればなるほど発症率は高まり、海外の調査では14才以上の犬の4割程度が認知症の症状が出ているとの結果もあります。
どの犬もなる可能性がありますが、認知症の症状を呈した愛犬が何を感じ、何を思っているかということをある程度理解することで、心持ちも生活環境もよい状態を維持することができるでしょう。
一度きりしかない愛犬との人生、認知症になっても最後まで幸せで愛に溢れる生活を送りましょう。
犬の認知症のサイン①: 寝ている時間が増える
老化により睡眠時間が増えることもありますが、活動量が目に見えて低下するほど眠る場合は認知症の可能性があります。
活動量の低下で虹的に概日リズム(体内時計)が狂うこともあります。
できる限り朝は日の光を浴びるようにすることで生活リズムが整いやすくなります。
犬の認知症のサイン②: 食べこぼしを見つけられなくなる
認知症になると視覚や聴覚、嗅覚などの五感機能にも影響が出ます。
食べている最中にこぼしたフードに気が付かないことがあります。
以前はこぼしても食べていたのに、今は食べこぼしがよく見られるという場合は認知症の症状である可能性があります。
他の認知症の症状が併発していないか合わせてチェックするとよいでしょう。
犬の認知症のサイン③: 飼い主さんの呼びかけに応じなくなる
散歩前や飼い主さんの帰宅時など、呼びかけても反応がなくなってきたら認知症の症状である可能性があります。
聴覚の低下も相まって、呼び声が聞こえなったり物音に対する反応が低下しているのです。
この時は何度も呼びかけたり、反応をせかしたりすると愛犬が不安がってしまいます。
愛犬の目の前で分かりやすい言葉で丁寧に話しかけるようにしましょう。
犬の認知症のサイン④: 指示やしつけに従わなくなる
これまではオスワリ、オテなどのコマンドができていたのに、コマンドに従わなくことがあります。
これは指示されている言葉の意味が理解できなくなっているからだと考えられます。
または、聴覚機能の低下で指示に従わなくなる可能性もあります。
こうした場合は分かりやすい指示に変える、しつけを教えなおしてもよいでしょう。
指示はシンプルに分かりやすく、聴覚が低下してもコマンドが理解できるようにハンドシグナルを取り入れてもよいでしょう。
愛犬が認知症の初期段階であれば、適度な訓練はよい刺激になり、効果が見込めます。
犬の認知症のサイン⑤: 粗相が増える
トイレがどこにあるのか分からなくなり、違う場所でしてしまうことがあります。
室内でのトイレの場合は、部屋のどこからどこまでがトイレなのか、空間認知能力が曖昧になってしまい、違う場所で粗相をしてしまうのです。
ベッドやじゅうたんなどで粗相をしてしまうと、そこでトイレができると理解してしまい、これまでのトイレとは違う場所で粗相をするようになります。
トイレに囲いを付けるなどトイレ空間を限定することで、改善することがあります。
また、愛犬の身体のサイズよりもゆとりのある広さのトイレを用意することではみだし防止にもなります。
犬の認知症のサイン⑥: 歩行困難になる
認知症は認知機能だけでなく、目や耳、足の等の身体機能が低下することも特徴です。
歩行に関してはふらつく、途中で倒れる、起き上がれなくなどの症状が見られることも。
愛犬が歩きたがるうちは転んでも危なくない芝生などの上を歩かせる、補助ハーネスなどを利用して歩行を補助するなど、安全に配慮して歩かせるとよいでしょう。
犬の認知症のサイン⑦: 食事は摂っているのに痩せてくる
食欲はこれまでと変わらず、食事の量も以前と変わらないのに体重だけが減ってきてしまう場合、認知症の可能性があります。
ただし他の病気が原因である可能性もあるため、かかりつけの獣医師に相談することをオススメします。
犬の認知症のサイン⑧: あちらこちら歩いたりグルグルと歩いたりする
部屋の中をあてどなく歩き回る、同じ場所でグルグルと回るように歩くようになった場合は認知症の症状である可能性があります。
これは歩くことで落ち着かない気持ちを紛らわせている可能性があります。
犬の徘徊行為は人間と違い特定の目的があるわけではないと考えられています。
認知機能の低下から焦りや不安の気持ちをいたぢている可能性があり、その気持ちを落ち着かせるために歩いている可能性があります。
無理にストップすると落ち着かないばかりか、イライラにつながるばかりです。
グルグルと回り続ける時も状況としては同じですが、神経異常が原因で体のバランスが狂い、一つの方向に回っていると考えられています。
対処法としては、歩く行為を止めさせるのではなく、部屋の安全を確保したうえで、ある程度自由に行動させてあげるとよいでしょう。
具体的には、床を滑りにくくする、家具の角にはクッションを付ける、段差をなくすなど愛犬の安全を確保しましょう。
グルグルと回る場合はサークルなどで範囲を限定的にし、内側はマットなどで補強して、安全な環境で歩かせてあげるとよいでしょう。
犬の認知症のサイン⑨: 夜鳴きする
『のどが渇いた』『トイレに行きたい』などの生理的な欲求で鳴いたり、排泄症状がある犬の場合は歩いているうちに転んだり、身動きが取れなくなって鳴くことがあります。
『気分が悪い』『かゆい』など、夜になって身体の不調を感じて鳴くこともあります。
中々夜鳴きが治まらない場合は実は後者の理由の方が多数で、認知症以外の病気になっている可能性が高いです。
こうしたケースは、他の病気がないか、かかりつけの病院で診察を受けるとよいでしょう。
また、寝る前は水を飲ませたりトイレを済ませるなどの生理的な欲求を満たしてから寝かせてあげて下さい。
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犬の認知症のサイン⑩: 部屋の隅・隙間などから出られなくなる
徘徊する認知症の犬はひたすら全身をします。
そのため部屋の隙間にはまって動けなくなることがあります。
運動神経に支障をきたしていることも多いため、狭い場所で体の向きを転換したり、後ろに引き下がる動作ができなくなっているため同じ場所にハマったままにってしまうのです。
対策としては、棚の後ろ、テレビの後ろなどの隙間は入れないように柵などで防ぐとよいでしょう。
活動範囲もある程度限定的にすることで、愛犬の安全を確保することができます。
認知症をなるべく予防するために
認知症をできる限り予防するためには、愛犬が若いうちからの生活スタイルを整えてあげることが大切になります。
具体的には以下の3つのことを日常生活で実践するとよいでしょう。
明るい時間帯に散歩に行く
認知症予防には脳への心地よい刺激がよいと考えられています。
散歩中に日光を感じることで視覚的な刺激になり、散歩コースのニオイは嗅覚に作用します。
日々の散歩で足腰が鍛えられれば認知症の症状の一つである運動機能低下の対策になります。
頭や嗅覚を使う遊びを取り入れる
おやつを入れることができるおもちゃなどで、愛犬が頭脳と嗅覚を活かしておやつを取り出せるような遊びは認知症予防に効果的だとされています。
『どうすればおやつを取り出せるのか』と考えさせることは脳への刺激になり、結果的に認知症の予防につながる可能性が高いです。
日々のコミュニケーションを大切にする
一番大切なことは、パートナーである飼い主さんとの毎日のコミュニケーションです。
飼い主さんとのコミュニケーションは、愛犬にとって何よりも大切な刺激になります。
認知症になると気力が低下したり反応が鈍くなると言われていますが、毎日笑顔で接することで安心感が高まり、愛犬が穏やかに過ごすことができるのです。
【 ひょっとして認知症かも 】犬の認知症10のサインを知ろう まとめ
いかがでしたでしょうか。
愛犬の認知症の症状が疑われるサインを知っておくことで、認知症かも、という心構えができます。
また、認知症の愛犬の行動がどういうことに基づいて行われているかを理解することで、飼い主さんも落ち着くことができますし、愛犬の負担を軽減してあげることができるはずです。
認知症は予防していても、かかるときはかかる病気です。
大切なのはあなたの愛犬が認知症になった時、落ち着いて愛犬も飼い主さんも穏やかに過ごすことができる準備を始めることではないでしょうか。
認知症かもと思った時は、一度動物病院を受診して判断を仰ぐことが大切です。
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