犬も人間と同様、特定のものに対する恐怖症があります。
犬にとっての恐怖心は危険を回避するために必要なものですが、恐怖心が強すぎるとパニックになり、治療が必要になることも。
この記事では犬の恐怖症の症状や原因、治療法などを詳しく解説します。
犬の恐怖症とは
犬の恐怖症とは、特定の音や場所、人などを怖がり、症状が悪化するとパニックを引き起こす病気です。
犬の場合は好奇心旺盛な時期(生後7~8ヵ月)を過ぎた後に恐怖心が強まる時期がやってきます。
この時期から3歳ごろまでは、怖いものへの症状が出やすいと言われています。
特に生まれ持った性格が怖がりだと、早い年齢から症状がでることも。
愛犬が怖いと感じた時に見せる症状を事前に知っておけば、早い対処ができます。
犬の恐怖症: 原因について
もともとの性格が怖がりだと恐怖症になりやすく、子犬のころから症状が出やすい傾向があります。
トラウマになるような強い恐怖体験がきっかけになる場合は、性格や年齢は関係ありません。
【 犬の恐怖症の原因は 】
・ もともとの性格が怖がり
・ 色々なものに慣れていない(社会化が未熟)
・ 強い恐怖を体験した(トラウマになるような経験)
・ 他の病気
犬の恐怖症: どのような症状がみられるか
初期段階
いわゆる『カーミングシグナル』が見られます。
犬は怖くてドキドキすると自分を落ち着かせようとする仕草をします。
あくび、怖い対象から目をそらしたり顔を背ける、舌なめずりをする、必死で地面のニオイを嗅ぐなどの動作です。
本当はこの初期段階で飼い主さんが気が付いてあげるとベストだと言えます。
飼い主さんが気が付く段階
飼い主さんが『愛犬が恐怖を感じている』と気が付けるような症状が出てきます。
【 飼い主さんが気づく段階 】
・ 震える
・ 固まる
・ 逃げる
・ しっぽを巻く
・ 隠れる
・ 吠える
飼い主さんの手に負えない段階
一言で言うと『パニック症状』が見られます。
逃げ出そうとしてドアを壊す、吠え続ける、失禁するなどの重度の異常が見られるようになります。
動物行動学に詳しい獣医師に相談する必要があります。
この状態に到達する前に、適切な対処をしておきたいものです。
犬の恐怖症: 対処や治療について
軽度の恐怖症なら怖いものに少しずつ慣れさせていきます。
遊んだり、食べたりといった楽しいことをしている間に怖がる音を流すなどして慣れさせることも有効です。
一方で重度の恐怖症では抗うつ剤などの服薬治療も併用します。
気持ちが落ち着き、症状も減ってきますが、薬だけでは不十分です。
愛犬が怖いと感じた時に避難ができる場所、リラックスできるスペースの確保、愛犬と飼い主さんとの見直しも必要です。
犬の恐怖症: 予防方法
怖がりな性格の犬は少しの刺激にも反応する傾向があります。
そのため、愛犬が安心感を持って過ごせる場所があると、心に余裕ができ、生活gあしやすくなります。
愛犬が李ラックできる場所や状況を作ることが大切です。
飼い主さんとしてできる行動としては、散歩や遊びなど、愛犬と楽しい時間を過ごすことで気分をリフレッシュさせてあげましょう。
また、犬は次に起きることを予測できないと不安を感じてしまいがちです。
例えば、『散歩に行こう』『足を拭こう』などと事前に言葉を掛けてから行動することで、不安が和らぎます。
日常生活においては、クレートやマット、ハウスなど愛犬がくつろげる自分だけの場所を確保してあげるとよいでしょう。
犬は狭い場所に安心感を得るため、愛犬のサイズに合った環境を用意してあげましょう。
犬の恐怖症に関する様々な疑問
診断はどのように行うのか
愛犬が見せる症状や状況など、飼い主さんから十分に聞き取りを行い診断します。
ただし、別の病気が原因で不安感が高まっている可能性もあるため、鑑別も重要になります。
痛みを伴う関節炎、甲状性機能低下症などの内分分泌炎、高齢性認知機能不全など、不安感を高める病気とされているからです。
それらの病気が治療できれば不安感を解消することに繋がります。
恐怖症の完治は目指せるのか
初期症状では完治を目指せますが、悪化していると再発することも多いとされています。
怖がる対象が分かりやすい初期であれば、慣れさせて恐怖症を克服することはできます。
しかしながら、飼い主さんが対応せずに放置しておくと、最初に怖がっていたものと似たものまで怖がり始めるなど、対象が困難になることがあります。
愛犬がパニックを起こし、怖がっている者も絞り込めない段階まで悪化すると、投薬治療で改善しても何かのきっかけで再発することも多いとされています。
成長すれば恐怖を克服できるのか
残念ながら犬の恐怖症は愛犬の成長とともに自然と治っていくものではなく、飼い主さんが発見した時から適切な対応(治療)をすることが大切になります。
恐怖心はどんどん広がっていくものです。
例えばの例ですが、ステンレスボウルの中でお米を研ぐ音を怖がっていた犬が、米を計算し始めると怖がりだし、最後には飼い主さんが米びつを触るだけで怖がるようになった、というケースもあるようです。
放っておくと怖いものがどんどんと増えていき、いつも不安状態に陥る『全般性不安障害』に陥ってしまうこともあります。
犬の恐怖症|原因や治療法などを詳しく解説します まとめ
いかがでしたでしょうか。
外傷や痛みを感じたうめき声など、分かりやすい症状が出にくい病気であるため、飼い主さんが日ごろから愛犬をしっかりと観察し、おかしなところがないか、チェックしてあげることが大切です。
また、故意に怖がるような状況を作ったり、怖がらせるようなことをするなどはもってのほか。
愛犬がリラックスして安全に過ごすことができるよう、生活環境をしっかりと整えてあげましょう。