今回は犬アトピー性皮膚炎に関する記事です。
犬アトピー性皮膚炎は遺伝的な原因もあり、治療方法も個別にあった方法を選択する必要がある難しい病気です。
犬の病気ランキングでも常に上位に上がってくる皮膚炎は、犬を飼い主の頭を悩ませる病気の一つであることは間違いありません。
この記事では犬のアトピー性皮膚炎の症状や治療法などを詳しくご紹介していきます。
犬のかかりやすい病気の種類ランキング
こちらは犬のかかりやすい病気ランキングです。
ランキングはアイペット損害保険株式会社 ペットの傷病ランキングを元に作成しています。
まずは堂々の第１位は皮膚炎です。
皮膚炎には色々な種類があります。
本記事では皮膚炎の中でも犬アトピー性皮膚炎について焦点を当てます。
第２位は外耳炎です。
耳が大きく垂れている犬種ではかなり要注意な病気です。
第３位は下痢、第４位は腫瘍（がん）となっています。
第５位は異物の誤飲です。
誤飲は下手をすると開腹手術が必要になる恐ろしい病気（事故）です。
第６位は胃腸炎、第７位は骨折、第８位は嘔吐となっています。
第９位の歯周病は３歳以上の犬全体の８０パーセント以上がかかっているとも言われており、全犬種共通の病気です。
第１０位は膝蓋骨脱臼です。
膝蓋骨脱臼は英語ではパテラ（Patellar Luxation）と言われる病気です。
犬の病気ランキング第１位： 皮膚炎（犬アトピー性皮膚炎）とは
犬の皮膚は人間の皮膚のおよそ1/6程度の薄さだと言われています。
犬の皮膚は非常にデリケートなのですが、たくさんの種類の細菌やアレルゲン、紫外線といった外部の刺激から体を保護してくれています。
このように体の外側からの細菌やアレルゲンの侵入を防ぐとともに、体なかの水分の蒸散を防ぐ役割を指して【 皮膚のバリア機能 】と呼びます。
犬アトピー性皮膚炎は、ダニや花粉などの環境中のアレルゲン（抗原）に対し、体が過剰な免疫反応をすることによって引き起こされます。
アトピー性皮膚炎の犬は皮膚のバリア機能が低下しているため、体内にアレルゲンの侵入を許してしまうことになり、皮膚の炎症が起きてしまうのです。
アレルギー性の皮膚炎は、犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、ノミアレルギーなど様々な原因から引き起こされます。
中でも犬アトピー性皮膚炎は、犬のアレルギー性皮膚炎でも多い病気となります。
アトピー性皮膚炎は【 遺伝性 】であることが多く、そのため生後３ヶ月～３歳くらの比較的若い時期から症状が出はじめます。
アトピー性皮膚炎はとてもかゆい皮膚病ですが、年齢を重ねるごとにかゆみが増していくと言われ、継続的な対応が必要になります。
はじめはかゆみから始まり、それから皮膚の炎症が見られるようになります。
その後よくなったり悪くなったりを繰り返していくことになります。
犬アトピー性皮膚炎は完治が難しいため、病気とうまく付き合っていく必要があります。
犬の病気ランキング第１位： 皮膚炎（犬アトピー性皮膚炎）の症状
このような症状が多く見られると犬アトピー性皮膚炎の可能性があります。
【 犬アトピー性皮膚炎の症状 】
・ 皮膚を舐める
・ 皮膚を噛む
・ 皮膚を引っ掻く
・ 皮膚を擦り付ける
犬アトピー性皮膚炎は耳や顔、足の指の間、ワキ、おなか、足や尾の付け根、内股などに症状が見られます。
とにかくかゆがっていることがサインなので、まずはそこに気が付いてあげたいところです。
長毛種の場合はブラッシングの時などに皮膚の状態をしっかりと確認してあげると早期発見につながります。
以下は犬アトピー性皮膚炎のビフォーアフターの写真です（ベックジャパン様のWebサイトからお借りしました）
犬の病気ランキング第１位： 皮膚炎（犬アトピー性皮膚炎）の治療方法
犬アトピー性皮膚炎の治療方法は様々ですが、薬剤を用いた薬物療法にスキンケアや食事療法、サプリメント摂取、減感作療法など、様々な治療法があります。
犬アトピー性皮膚炎の治療法①： 薬剤治療
飲み薬としては経口ステロイド剤が十全より使用されてきました。
しかしながら人間と同じく、ステロイド剤には副作用も伴うため、最近では副作用が少ないとされるオクラシチニブ剤やシクロスポリン製剤といった新しい薬も登場してきています。
注射剤としては、かゆみを誘発する原因であるインターロイキン-31（IL-31）のみを抑制するIL-31モノクローナル抗体製剤といった抗体医薬や、体内の免疫に効果を働きかけることでかゆみを抑制する効果が期待される犬インターフェロンｙといったものもあります。
いずれも一定の安全性が確保されていると言われています。
外用薬（塗り薬）としては、ステロイドの塗り薬がありますが、被毛で覆われている犬用のスプレー型の薬剤も登場しています。
犬アトピー性皮膚炎の治療法②： スキンケア
皮膚バリア機能を維持するためには、アレルゲンやその他の刺激物を犬の皮膚から洗い流し、皮膚自体もしっかりと保湿することが大切になります。
動物病院と相談しながら、このような効果が期待できるシャンプーや保湿剤を使用して愛犬の日々の皮膚ケアを行うことも有効です。
犬アトピー性皮膚炎の治療法③： フードやサプリ
手作りフードやサプリなどで体内の免疫力を向上させることが、犬アトピー性皮膚炎の対策になると言われています。
免疫力を向上させる食べ物とは、胃腸の動きを活性化するものを指します。
【免疫力サポートによい食材】
・ 納豆やヨーグルトなどの発酵食品
・ バナナやさつまいもなどのオリゴ糖を含む食材
・ 大根やリンゴなどの食物繊維を含む食材
犬アトピー性皮膚炎の治療法④： 減感作療法
減感作療法（げんかんさりょうほう：hyposensitization therapy）とは、犬アトピー性皮膚炎の原因となっているアレルゲンを少しずつ体に入れることで症状を緩和させることを目的にしています。
長期間（数年単位）アレルゲンを注射します。
徐々に注射するアレルゲンを増やしていきます。
費用が掛かることと、頻繁に動物病院に通院することが必要となりますが、効果は長期間継続することが期待されています。
犬の病気ランキング第１位： 皮膚炎（犬アトピー性皮膚炎）の治療費用
冒頭の犬の病気ランキングでは、12,500円でした。
上記は様々な皮膚病にかかった費用の平均値となります。
一例によると、犬アトピー性皮膚炎にかかった場合の治療費はこのようなものです。
・ 専用シャンプー： 1,500円～3,000円/1本あたり
・ トリミング： シャンプーのみで2,000円～3,000円、カットはさらに5,000円～10,000円
・ 減感作療法： アレルゲン検査で40,000円程度、週1回のアレルゲン注射で5,000円～10,000程度
犬アトピー性皮膚炎は生涯に渡り治療が必要な可能性があり、少なくとも80,000円以上の費用はざっと掛かると見込まれます。
その他基礎疾患の治療費も必要となり、個体差や獣医師の判断にもよりますが治療のための費用は高額になる傾向があります。
犬の病気ランキング第１位： 皮膚炎（アトピー性皮膚炎）にかかりやすい犬種
犬種問わずアトピー性皮膚炎になる犬は多いのですが、その中でも強いて言えば、被毛の多い犬種やブルドッグなどの短毛で硬い毛質の犬種がなりやすいと言えます。
【 皮膚炎（犬アトピー性皮膚炎）にかかりやすい犬種 】
・ ウェスト・ハイランド・ホワイトテリア
・ 柴犬
・ トイ・プードル
・ ダルメシアン
・ パグ
・ ブルドッグ
・ ミニチュア・ダックスフンド
・ ラブラドール・レトリバー など
犬の病気ランキング第１位： 皮膚炎（犬アトピー性皮膚炎）の予防方法
犬のアトピー性皮膚炎は、一言で言うと『超かゆい皮膚病』です。
環境アレルゲンと呼ばれる、室内に潜むダニや花粉などに対して、皮膚が過剰な免疫反応を示すことで激しいかゆみが生じます。
犬アトピー性皮膚炎は皮膚バリア機能が低下していることによりアレルゲンの体内への侵入を防ぐことができないためにこうした症状が出てしまいます。
病気の予防としては、スキンケアを行うことが大切だと考えられています。
敏感なアトピー肌には低刺激性のシャンプーを使用して、その後は保湿をしっかりと行うことが必要です。
シャンプーや保湿ジェルなどは、獣医師とも相談の上選ぶようにするとよいでしょう。
犬の病気ランキング｜皮膚炎（犬アトピー性皮膚炎）の症状・治療法・予防法と治療費用 まとめ
今回は犬の病気ランキング第１位の皮膚炎の中でも、特に治療が難しいとされる犬アトピー性皮膚炎について、症状や治療方法などについてご紹介しました。
今回のまとめはこのようになります。
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