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動物愛護法改正(動物の愛護及び管理に関する法律)2020改正内容、数値規制、8週齢規制

動物愛護法の改正|3つのポイントを超分かりやすく図解で説明します【 2020年版 】

昨今大変な注目を集めている【 動物愛護法 】の改正。

2019年に既に改正が終わっているにも関わらず、いまだこれほどまでに注目されている理由は何なのでしょうか。

この記事では動物愛護法とその改正内容について、日本一分かりやすい解説を目指して作成されています。

2020年現在の動物愛護法の改正の注目すべき3つのポイントを中心に、法律が苦手な方でもすんなり分かる内容になっています。

 

動物愛護法とは

 

動物愛護法、動物おn愛護及び管理に関する法律、概要

 

動物愛護法(正式名称:動物の愛護及び管理に関する法律)は動物の虐待などの防止について定められた法律で、1973年に制定されました。

人間と動物が豊かに共生できる社会を実現するために作られた法律です。

その後飼い主やペット事業者の責任や義務が強化される条項が盛り込まれ、これまでに4度改正されています。

最新の法改正は2019年6月19日に公布されています。

2020年になっても改正の内容が未だ注目されているその理由は何なのでしょうか。

これから詳しく解説していきます。

 

動物愛護法の改正内容と施行時期

 

最新の法改正は2019年に実施されていますが、今回の改正内容はその運用開始が『段階的』に行われることになっています。

 

【 動物愛護法の施行時期は3段階に分かれる 】

① 2020年6月
② 2021年6月(公布から2年以内)
③ 2022年6月(公布から3年以内)

 

2020年、2021年、2022年動物愛護法施行時期

 

上の表は最新の法改正について、改正内容と運用開始の時期を記載したものです。

 

【 POINT 】

2019年に立法され、2020年~2022年に渡り『段階的に』運用開始となる

 

2019年6月19日に動物愛護法4回目の改正が公布され、多くの内容は2020年6月から運用開始されています。

その他の規定については2021年の6月(改正法の公布から2年以内)、2022年の6月(改正法の交付から3年以内)に段階的に運用開始することになっています。

 

2020年になっても動物愛護法の改正内容が注目されている理由

2020年になっても未だ注目されている動物愛護法の改正ですが、注目されている理由は以下の理由が考えられます。

法改正の内容がこれまでと比べてかなり厳格化されている

まずは今回の改正内容が、これまでの改正内容と比べて厳格化されている傾向があるからです。

日本はペット後進国と言われていますが、ペット先進国である欧米の基準も参考にしながら改正が行われていることに注目されていると言えます。

 

2020年現在で規制内容の詳細が決まっていないものがある

実質的にはこちらの点が2020年でも未だ注目されている理由です。

動物愛護法の改正自体は2019年6月の時点で完結していますが、法律に基づいた細かい規定やルールについては、法律とは別の『省令』という取り決めがなされることになっています。

今回の改正では後述する数値規制と呼ばれるルールが特に注目されていますが、このルールの具体的な内容は完全に決まっていません。

数値規制は2021年の6月を目途に運用開始となります。

しかしながら、具体的な規制内容が2020年でも決まっていないため大きな注目の理由となっています。

動物愛護法の改正内容が2020年でも注目されている理由は以上です。

ここから、具体的な改正内容について解説していきます。

 

動物愛護法の改正|3つのポイント

 

改正内容が注目されている今回の法改正ですが、改正内容として大きなポイントは以下の3点です。

 

動物愛護法の改正3つのポイント(8週齢規制、虐待の罰則強化、数値規制)

 

【 動物愛護法の改正 3つのポイント 】

① 8週齢規制
② 虐待の罰則強化
③ 数値規制

 

今回の法改正では動物愛護と虐待防止の強い観点から、上記のポイントが大きく改正されることになりました。
その内容を1つずつ見ていきましょう。

 

動物愛護法の改正|3つのポイント①: 8週齢規制(2021年6月に実施)

動物愛護法 8週齢規制 生後56日(8週間)の犬・猫の販売禁止

 

動物愛護法の改正で1つめのポイントは【 8週齢規制 】です。

 

8週齢規制とは

生後56日(8週齢)以下の犬猫の販売を禁止する規制

 

8週齢規制【 第22条の5/附則第2項 】とは生後56日(8週)に満たない犬猫の販売を禁止する規定です。
この規制は2021年6月までに運用開始される予定です。
生まれたばかりの犬猫たちをあまりにも早く親兄弟から引き離すと、生きていく上で必要なコミュニケーションを身に付けることができないと言われています。
健全なコミュニケーションを身に付けられないまま飼い主のもとに引き取られた動物たちは、噛みついたり暴れたりといった問題行動を起こす確率が高まると言われています。
こうしたことが結果的に動物虐待を助長することにもつながっており、本規制が間接的に動物虐待の可能性を減らす効果があると期待されています。
動物の販売業者は犬・猫の体が大きくなる前に一日でも早く販売したいと考えています。
子犬や子猫は幼く小さいほど衝動買いされるケースがあると考えられています。
8週齢規制により、生体の販売時期が従来(49日)より少し延長されることで、衝動買い、引いては将来的な飼育放棄や虐待を遠ざける効果も期待されています。
とはいえ、8週齢規制には天然記念物に指定されている日本犬には適用されないという例外規定もあり、波紋を呼んでいます。
8週齢規制に関する詳しい内容は別の記事で解説しています。

 

動物愛護法の改正|3つのポイント②: 虐待の罰則強化(2020年6月実施)

動物愛護法改正、虐待の罰則強化

 

虐待の罰則強化

従来の法律よりも虐待に関する罰則を厳格化

 

動物殺傷罪等の厳罰化【 第44条 】は2020年6月から施行されています。

従来は動物をみだりに殺したり傷つけたりする行為には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金とされていました。

これが改正後には5年以下の懲役または500万円以下の罰金に厳罰化されています。

また動物の虐待や遺棄に関しては、100万円以下の罰金とされていたものが、改正後には1年以下の懲役または100万円以下の罰金とこちらも同じく罰則が強化されました。

もっと強化して頂きたいものですが、数値を伴った明確な罰則強化にはなっており、動物の虐待行為に対する抑止効果は上がったと言えるでしょう。

動物の虐待に関する定義は、以下の定義されています。

 

動物愛護法改正、虐待の定義

参考:環境省ホームページを元に作成

 

本当にやってはいけないことですね。

動物虐待は絶対に止めましょう。

 

動物愛護法の改正|3つのポイント③: 数値規制(2021年6月実施)

 

数値規制【 第21条 】とは、犬猫の繁殖業者などに対して、飼養または管理に関する基準を具体的に定めたものです。

今回の法改正の中で最も注目されているポイントと言えます。

 

数値規制とは以下の内容を具体的に定めたもの

・ 飼養施設の構造や規模
・ 従業員の数
・ 環境の管理
・ 疾病への措置 
・ 展示または輸送の方法
・ 繁殖の回数、方法

動物愛護法では条文の定義はされていますが、細かい数字やルールについては別途環境省が『省令』として取り決めを行います。

この取り決めのことを指して【 数値規制 】と呼ばれています。

数値規制は2021年6月までに運用が開始されますが、実はまだこの具体的な数値は決まっていません。

2018年の3月から環境省の検討会が発足され、2020年の9月までに7回開催されています。

規制の内容については、1頭あたりの生活スペースを中心に欧米との比較がされています。

一時は形骸化された規定と言われていましたが、何度も検討されることにより、当初よりは実行力が期待される内容になりました。

一例として、犬猫の居住空間に関する数値規制としてこのようなルールが検討されています。

 

数値規制(運動スペースサンプル

 

資料は環境省の資料に基づき当サイト(ワンだふるライフ)が独自に作成したものです。

例えば、体長30cm、体高20cmのミニチュア・ダックスフンド2頭を飼育するためには、運動スペースも含めた生活空間は縦1.2m × 横1.35m × 高さ0.4㎡以上にする必要があるというルールです。

数値規制は今回の法改正の中で動物愛護と虐待防止の観点から最も注目されている内容です。

詳しい内容は単独の記事でお伝えしています。

以上が今回の動物愛護法の改正で最も注目すべき3つのポイントです。

この3つのポイント以外にも様々な改正が行われており、さらに詳しく知りたい方向けに追加で4つのポイントをご紹介します。

興味がある方は続きをお読みください。

 

動物愛護法の改正|その他のポイント④: マイクロチップ登録の義務化

動物愛護法の改正、4つ目のポイントはマイクロチップ登録が義務化されたことです。

運用開始は今回の法改正では最も遅い2022年の6月(改正法の交付から3年以内)となっています。

マイクロチップの登録義務化【 第39条の2 他 】では、犬猫の販売業者(ブリーダーやペットショップなど)に対して、犬または猫を取得した日(生後90日以内の犬猫を取得した場合は、生後90日を経過した日)から30日を経過する日までに装着することを義務付けています。

犬猫の販売業者以外は努力義務(極力行うこと)とされてます。

具体的には以下の流れでマイクロチップの装着と登録変更を行う必要があります。

まずはペットショップやブリーダーから購入するケース(登録義務)です。

① ペットショップやブリーダーから購入するケース(登録は義務)

 

動物愛護法改正2020マイクロチップ装着の義務化

 

【 マイクロチップ装着手続きの流れ 】

① ブリーダーは繁殖した犬猫に対し、動物病院へマイクロチップの装着を依頼する
② 動物病院はマイクロチップを装着させて、マイクロチップ装着証明書を交付する
③ ブリーダーは指定登録機関にマイクロチップ登録申請を行う
④ 指定登録機関はブリーダーに対し登録証明書を交付する
⑤ ブリーダーから犬猫を購入したペットショップは指定登録機関に所有者変更申請を行う
⑥ 指定登録機関はペットショップに対して変更内容を反映した登録証明書を交付する
⑦ ペットショップから犬猫を購入した飼い主は指定登録機関に所有者変更申請を行う
⑧ 指定登録機関は飼い主に対して変更内容を反映した登録証明書を交付する

 

犬の場合のみ、マイクロチップが装着され指定登録機関に申請があったタイミングで、指定登録機関から市区町村に通知が行われます。
装着されたマイクロチップは狂犬病予防法上の鑑札としてみなされます。(第39条の7)

② 愛護団体や個人から譲渡を受けるケース(登録は努力義務)

一方で個人から犬猫を譲り受け場合や、保護犬・保護猫などを受け入れる場合のマイクロチップの装着及び登録は努力義務とされています。
具体的な流れはこのようになります。

 

【 マイクロチップ装着手続きの流れ 】

① 愛護団体や一般所有者は、動物病院へマイクロチップの装着を依頼する
② 動物病院はマイクロチップを装着させて、マイクロチップ装着証明書を交付する
③ 愛護団体や一般所有者は指定登録機関にマイクロチップ登録申請を行う
④ 指定登録機関は愛護団体や一般所有者に対し登録証明書を交付する
⑤ 愛護団体や一般所有者から犬猫を譲り受けた飼い主は指定登録機関に所有者変更申請を行う
⑥ 指定登録機関は飼い主に対して変更内容を反映した登録証明書を交付する

 

こちらのケースは努力義務(できるだけマイクロチップの装着を行う)となっていますが、一旦マイクロチップを装着した場合には、指定登録機関への登録及び変更が生じた場合の変更登録は義務となっています。

 

動物愛護法の改正|その他のポイント⑤: 獣医師による通報の義務化

 

動物愛護法の改正の5つ目のポイントは、獣医師が虐待を発見した場合には関係機関に通報することの義務化です。

獣医師による通報の義務化【 第41条の2 】は、旧法では努力義務扱いだったのですが、改正後は遅延なく通報することを義務付けられました。

これにより動物虐待の抑制防止効果が高まることが期待されています。

獣医師による通報の義務化は2020年6月以降運用が既に開始されています。

 

動物愛護法の改正|その他のポイント⑥: 登録拒否要件の追加

動物愛護法の改正ポイントの6つ目は、登録拒否(取消)要件の追加【 第12条(第19条) 】です。

2020年6月から改正法が運用されています。

ペットショップやブリーダーなどの動物取扱業者の登録について、ペナルティが厳しくなっています。

以下に該当する場合は、動物取扱業者としての登録が5年間できません。

 

動物取扱業者として登録できない主な条件

・ 登録を取り消された場合
・ 禁固以上の刑に処された場合
・ 以下の法律に違反して罰金以上の刑に処された場合
  - 種の保存法
  - 鳥獣保護法
  - 外来生物法

・ 外為法違反の中で「動物の密輸入、密輸出」で罰金以上の刑に処された場合
・ 暴力団や暴力団員でなくなってから5年未満の場合

従来は処罰の条件も軽く、処罰されても登録ができない期間は2年間でした。

 

動物愛護法の改正|その他のポイント⑦: 犬・猫の繁殖制限を義務化

 

動物愛護法の改正で注目するべきポイントの最後は、犬・猫の繁殖制限の義務化【 第37条 】です。

改正法は2020年6月から運用が開始されています。

犬や猫の所有者は無計画に繁殖して、繁殖した子たちをちゃんと飼育することができないのであれば、繁殖を防止する措置を取らなければいけないという内容です。

旧法では努力義務でしたが、法改正を経て義務化されることになりました。

具体的な措置としては避妊や去勢の手術により生殖できなくすることが挙げられます。

 

動物愛護法の改正|3つのポイントを超分かりやすく図解で説明します【 2020年版 】 まとめ

今回の記事では2019年に改正された動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)の改正のポイントをご紹介しました。

 

2020年、2021年、2022年動物愛護法施行時期

 

2020年からほとんどの改正内容が運用されていますが、みなさんの関心が高い『8週齢規制』『数値規制』は2021年から運用開始されることになります。

マイクロチップの義務化に及んでは2022年からの開始となります。

今回の改正内容は大きな動物虐待を阻止する目的としては大きな進歩であるという評価がある一方で、ペット先進国にはまだまだ及ばず実行力にも疑問が残るといった意見もあります。

みなさんはどのように感じられたでしょうか。

改正内容の中には、『そんなことも努力義務だったの?』という内容も含まれており、ペット先進国への道はまだまだ時間が掛かりそうです。

とはいえ、ペットとの暮らしは今後ますます増えるため、動物保護や動物虐待を防止するためのルールや取り組みは発展していくでしょう。

そして何より大切なのは、私たちペットを飼う人一人ひとりが、終生飼育のマインドとペット(家族)に対する愛情ではないでしょうか。

改正後の動物愛護法が動物虐待を抑制し、ペットがより安心・安全に暮らせるように効果を発揮してくれることを切に望みます。

今回の記事のまとめはこちらです。

 

・ 動物愛護法は2019年6月に改正されました
・ 2022年までに『段階的に』施行されていきます
・ 改正の大きなポイントは以下3つです
- 8週齢規制
- 虐待の罰則強化
- 数値規制・ 数値規制は環境省令として設定されますが、まだ確定していません
動物愛護法改正(動物の愛護及び管理に関する法律)2020改正内容、数値規制、8週齢規制
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