愛犬をペット保険に加入させるべきか、飼い主にとって大きな悩みの一つです。
ペットショップでペットを引き取る時に保険の加入を同時に勧められることもありますが、果たして本当に加入すべきなのでしょうか。
この記事は【 そもそも保険自体に加入するべきなのか 】悩んでいる方にとっては必見の内容になっています。
実際の保険サンプルを元に具体的な数値を用いて、保険に入るべきかも検証しています。
愛犬をペット保険に加入させるべきか、この記事をお読み頂いた後には明確になっているでしょう。
- 1 ペット保険とは
- 2 犬のペット保険 補償限度額と補償割合を知っておきましょう
- 3 犬のペット保険 補償額の例
- 4 犬のペット保険 保険対象外になる医療費は実はかなりあります
- 5 犬のペット保険以外で年間必要な医療費
- 6 犬のペット保険 入るべき人はこんな人
- 7 保険のタイプは体のサイズと補償割合で決まります
- 8 医療費総額がいくら以上であれば保険に入った方が得になるでしょうか
- 9 犬のペット保険 入るならまず払える金額を先に決めましょう
- 10 犬のペット保険 入るなら愛犬が若いうちに入りましょう
- 11 犬のペット保険 ペット保険に加入すべきか判断する期限
- 12 【 体のサイズ・補償割合別 】保険に入った方が得する生涯予想医療費
- 13 犬のペット保険 保険に入るべき生涯予想医療費まとめ
- 14 犬のペット保険 傷病ランキングを元に保険に入るべきかを検証してみました
- 15 犬の外科手術費用
- 16 犬のペット保険 保険に入るべきかは【 決め 】の問題
- 17 【 完全保存版 】犬のペット保険|入るべき人(犬)と保険の選び方 まとめ
ペット保険とは
ペット保険とは人間の保険同様、毎月の掛け金を保険料として支払うことで、ペットが病気やケガをしてしまった場合に、治療費の一部または全額を保険会社が負担してくれる制度です。
保険料さえ払っていれば、ペットの全ての傷病に対して全額を負担してくれるものではありません。
ペット及び飼い主の状況に合わせた保険を選択することで、もしもの時に必要な治療を安心して受けされることができます。
日本国では民間企業十数社がペット保険事業を展開しており、人間用の保険をメインに扱っている会社のペット保険や、ペット保険に特化した企業など様々な特色があります。
現状のペット保険は貯蓄を目的として加入する制度設計にはなっていませんが、基本的な保険の考え方は人間の保険と同じ性質です。
各保険会社で多様なサービスがあるため、どの保険商品を選ぶか悩みどころでもあります。
犬のペット保険 補償限度額と補償割合を知っておきましょう
保険には補償限度額と補償割合という考え方があります。
■ 補償限度額
入院1日あたり、手術1回あたり、年間あたりなどに設定される保証の限度額
補償割合の大きさに関わらず設定される(補償割合よりも優先される)
■ 補償割合
保険対象となる傷病の医療費用総額に対して保険会社が保険金給付補償する割合のこと
犬のペット保険 補償額の例
ペット保険の補償額の例をご紹介します。
以下のような条件で保険加入をしているとします。
・ 補償割合:70%
・ 補償限度額:1回の手術当たり最大10万円
ケース①: 手術に10万円掛かった場合
愛犬が病気になりやむを得ず手術をすることになりました。
この場合の保険の補償額は以下のようになります。
ケース②: 手術に20万円掛かった場合
手術に20万円掛かった場合の補償金額はこうなります。
手術1回あたりの補償限度額が10万円に設定されているため、補償割合が70%であったとしても限度額の10万円が最大補償金額として支払われることになります。
飼い主の自己負担金額は10万円となります。
犬のペット保険 保険対象外になる医療費は実はかなりあります
ペット保険に加入するにあたり、保険の対象外になる項目についてよく理解しておく必要があります。
犬の飼育には毎年必要なワクチン接種やフィラリアなどの予防、避妊・去勢手術などは保険の対象外になっていることがほとんどなので注意が必要です。
アニコム損害保険の情報を元に、保険金の補償対象外になる項目を挙げました。
【 犬のペット保険 主な補償対象外項目 】
・ 保険加入前の傷病や先天性異常
・ 健康診断
・ 避妊・去勢手術
・ 狂犬病予防接種
・ 混合ワクチン
・ フィラリア予防薬
・ ノミ・ダニの駆除薬
・ 健康サプリメント食品
・ シャンプーや耳掃除など
・ 爪切りや肛門腺絞り
犬のペット保険以外で年間必要な医療費
先ほどご説明したように、犬のペット保険で保険の補償対象外となる医療費については自己負担が必要です。
そして保険の適用外になる健康診断やフィラリア予防などは、犬を飼うためには毎年発生する必要経費となります。
犬のペット保険に加入しなくても、毎年発生する医療費についてはよく理解しておくべきでしょう。
こちらの資料の赤枠の部分が、毎年発生する医療費(犬のペット保険適用外)の代表的なものです。
中型犬:56,550円~61,550円
大型犬:66,050円~73,050円
犬のペット保険 入るべき人はこんな人
ここからが本題です。
犬のペット保険はうまく利用することができれば、大変便利なサービスです。
私たち飼い主も愛犬も安心して生活することができます。
万が一不測の事故や病気で多額の医療費が発生することになっても、安心して治療に専念することができます。
このように大変便利なペット保険ですが、加入は義務ではなく任意です。
そしてペット保険に加入すべき飼い主(愛犬)はこのような方です。
愛犬が病気の多い犬種だったり、健康面にやや不安があれば保険を利用する機会は必然的に多くなります。
例えばダックス・フンドはその体長からヘルニアなどの病気にかかりやすい犬種だと言われており、他の犬に比べると椎間板ヘルニアにかかりやすいと言わざるを得ません。
ヘルニアの手術には数十万円必要なため、ペット保険の加入を検討してもよいでしょう。
飼い主さんが愛犬の健康管理に自信がない場合もペット保険を検討すべき人の特徴です。
普段から相当なケアや体調管理に時間を費やすことができる(または得意)であれば、愛犬が健康な状態を維持しやすいです。
しかし、こうしたことにやや不安があるため、有事の際に保険で備えたいという人もペット保険の加入を検討すべきでしょう。
そしてどんなに気を付けていても回避するのが難しいのが、事故や急な体調異変などの突発的なリスクです。
こうしたリスクに備えるために犬のペット保険は存在しています。
アウトドアに出かけることが多かったり、血統的に突発的な病気にかかりやすいなどのリスクが怖いのであれば、保険に加入することで安心を得ることができます。
精神衛生上にもよく、こうしたことに不安を感じる方であればペット保険の加入を検討したほうがよいでしょう。
【 ペット保険に加入すべき飼い主の特徴 】
・ 愛犬が病気になりやすい犬種である
・ 健康管理に自信がない
・ 事故や急病などの突発的なリスクに備えたい
保険のタイプは体のサイズと補償割合で決まります
犬のペット保険は犬の体のサイズと補償割合で決まります。
この記事では実際の保険商品をサンプルに保険料総額を計算しています。
・ 補償のタイプは3種類(50%、70%、100%)
・ 体のサイズ3種類 × 補償のタイプ3種類 =9種類の保険タイプで検証します
【 表の見方 】
小型犬を0歳から50%補償型の保険に入らせた場合、16年間で456,960円の保険料を支払うことになります。同様に70%補償型の保険に入らせた場合は16年間で576,240円の保険料を支払うことになります。
医療費総額がいくら以上であれば保険に入った方が得になるでしょうか
表に記載されている数字は0歳~16歳までに掛かる医療費用の総額を表しています。
この金額のことを本記事では【 生涯予想医療費 】と呼びます。
生涯予想医療費には、保険対象外の医療費(健康診断やワクチン注射など)は含まれていない金額です。
各保険のタイプごとに記載されている【 生涯予想医療費 】よりも、実際の医療費が上回った場合、ペット保険に加入した方がお得になると理解して下さい。
【 表の見方】
現在0歳の小型犬(トイ・プードル)を引き取って、70%補償型の保険に16年間加入するとします。
その場合、16年間で表に記載されている生涯予想医療費(823,200円)よりも実際に医療費用が掛かるのならば、保険に加入して正解だということになります。
つまり各保険のタイプごとに、こちらの表に記載されている生涯予想医療費よりも実際の医療費の方が高ければ保険に入っていてよかったということになります。
ちなみに補償割合が大きな保険ほど生涯予想医療費の金額が低いのは、毎月の掛け金が50%や70%に比べて高いからです。
毎月の保険料は高い(ハイリスク)が、傷病があった時には100%補償してくれる(ハイリターン)からです。
ハイリターンであるが故に生涯予想医療費が低く、生涯予想医療費を超えた場合に保険に加入しておいてよかったという状況になります。
犬のペット保険 入るならまず払える金額を先に決めましょう
愛犬をペット保険に加入させるべきだと考え始めているならば、まずは保険の内容に関わらずご自身が毎月(毎年)支払うことができそうな金額を先に決めてしまいましょう。
当然ですがペット保険は毎月の保険料金が高い商品ほどサービス内容が充実しています。
そのためより良いサービスの商品に目が行きがちになりますが、支払いができる金額は決まっています。
ですから、初めに無理なく支払いができる金額を予め設定した方がサービス選びに迷いません。
そして飼い主さんご自身が保険に未加入であるのであれば、まずはご自身が人間用の保険に入ることを検討して下さい。
愛犬は飼い主さんしか頼るところがないのです。
まずはご自身が健康でいられるように整えることが大切です。
犬のペット保険 入るなら愛犬が若いうちに入りましょう
犬のペット保険は加入すると決めたならば、愛犬が若いうちに入りましょう。
人間の保険と同様、ペット保険も高齢になるにしたがって保険料金が上がっていくからです。
加入するならは愛犬が若くて健康なうちに手続きすることをオススメします。
愛犬の年齢と毎年の保険料はこのようなイメージで上昇していきます。
若いうちに保険に加入することは、高齢になって加入する場合に比べこのようなメリットがあります。
【 若いうちのペット保険加入のメリット 】
・ トータル保険料が安くなる場合がある
・ 掛け金が少なく保険を始められる
・ 加入の制約が厳しくない
・ 現在分かっていない疾患についても、発見された場合保険が適用できる
犬のペット保険 ペット保険に加入すべきか判断する期限
犬のペット保険は早ければ早いほど加入することが望ましいとお伝えしました。
とはいえ、子犬を受け入れた時すぐに保険を加入する人ばかりではありません。
保護犬を受け入れた場合は当然ながら保険未加入の状態です。
こうした場合は、愛犬がいくつになるまでにペット保険に加入すべきと判断すればよいでしょうか。
愛犬が7歳の期間中までに、ペット保険に入るべきか判断することをオススメします。
保険会社各社ともに8歳~9歳以降をシニア犬という位置づけにしている会社が多いです。
8歳でもまだ全然若いよと思われるかもしれませんし、筆者もそう思っています。
しかしながら、保険会社の保険サービス上はシニア犬(保険による補償が発生する割合が高い)と位置付けているのが現状です。
シニア犬になれば傷病リスクも高まるため、保険料も高くなるし加入の審査も厳しくなります。
そして犬のペット保険に加入ができる年齢制限が7歳~12歳11ヶ月までの間に定められているケースが多いです。
実際は8~9歳までが保険の新規加入の期限と考えておいた方がよいでしょう。
以降の年齢は極端に選べるサービスが減少します。
【 体のサイズ・補償割合別 】保険に入った方が得する生涯予想医療費
それでは具体的に保険の加入をするべきかどうかを検証する作業に入ります。
まずは、犬のサイズ(小型犬・中型犬・大型犬)ごとに、補償割合が50%、70%、100%の保険(サンプル)に入った場合の保険料総額を計算します。
100%補償型以外は、保険金給付の対象となる傷病治療を受けても自己負担金額が発生します。
そのため、保険対象となる医療費の総額がいくら以上発生すれば、その保険に入った方が入らない場合よりも得になるのかという試算です。
この記事では既に説明している通り、上記の医療費の総額を【 生涯予想医療費 】と呼びます。
試算の前提条件
【 生涯予想医療費 試算の前提条件 】
・ 0歳から16歳まで保険に加入するとする
・ 保険料計算サイトを元に試算した人気保険サービスの保険料をサンプルとする
・ 特約条項や補償限度額については考慮しない
補償割合 | 70% |
通院補償 | 10,000円(1日あたり上限)
20日(年間限度日数) |
入院補償 | 20,000円(1日あたり上限)
30日(年間限度日数) |
手術補償 | 10万円(1回の限度額)
2回(年間限度日数) |
年間最大補償額 | 110万円 |
待機期間 | なし |
更新可能年齢 | 終身 |
新規加入条件 | 生後30日~8歳11ヶ月まで |
保険金支払方法 | 立替請求型 |
保険金支払期間目安 | 20日以内 |
パターン①: 小型犬(トイ・プードル)50%補償型
小型犬(トイ・プードル)が50%補償型の保険に0歳~16歳まで加入した場合に、総額いくら以上の医療費がかかれば保険に加入するべきと判断されるでしょうか。
保険料総額: 456,960円
50%補償型のペット保険に加入した場合の16年間の支払保険料の総額は、456,960円となります。
愛犬の医療費の総額が16年間で生涯予想医療費:913,920円を超えた場合は、当該保険に加入するメリットがあります。
パターン②: 小型犬(トイ・プードル)70%補償型
小型犬(トイ・プードル)が70%補償型の保険に0歳~16歳まで加入した場合に、総額いくら以上の医療費がかかれば保険に加入するべきと判断されるでしょうか。
保険料総額: 561,120円
50%補償型のペット保険に加入した場合の16年間の支払保険料の総額は、561,120円となります。
愛犬の医療費の総額が16年間で生涯予想医療費:801,600円を超えた場合は、当該保険に加入するメリットがあります。
パターン③: 小型犬(トイ・プードル)100%補償型
小型犬(トイ・プードル)が100%補償型の保険に0歳~16歳まで加入した場合に、総額いくら以上の医療費がかかれば保険に加入するべきと判断されるでしょうか。
保険料総額: 763,560円
100%補償型のペット保険に加入した場合の16年間の支払保険料の総額は、763,560円となります。
愛犬の医療費の総額が16年間で生涯予想医療費:763,560円を超えた場合は、当該保険に加入するメリットがあります。
保険料月額が高いので当たり前ですが、生涯予想医療費の金額が50%、70%補償型に比べると低いです。
つまり、病気しそうな子は100%補償型の保険に入っていた方が安心だと統計上判断することができます。
パターン④: 中型犬(コーギー)50%補償型
中型犬(ウェルシュ・コーギー)が50%補償型の保険に0歳~16歳まで加入した場合に、総額いくら以上の医療費がかかれば保険に加入するべきと判断されるでしょうか。
保険料総額: 524,040円
50%補償型のペット保険に加入した場合の16年間の支払保険料の総額は、524,040円となります。
愛犬の医療費の総額が16年間で生涯予想医療費:1,048,080円を超えた場合は、当該保険に加入するメリットがあります。
パターン⑤: 中型犬(コーギー)70%補償型
中型犬(ウェルシュ・コーギー)が70%補償型の保険に0歳~16歳まで加入した場合に、総額いくら以上の医療費がかかれば保険に加入するべきと判断されるでしょうか。
保険料総額: 663,240円
70%補償型のペット保険に加入した場合の16年間の支払保険料の総額は、663,240円となります。
愛犬の医療費の総額が16年間で生涯予想医療費:947,486円を超えた場合は、当該保険に加入するメリットがあります。
パターン⑥: 中型犬(コーギー)100%補償型
中型犬(ウェルシュ・コーギー)が100%補償型の保険に0歳~16歳まで加入した場合に、総額いくら以上の医療費がかかれば保険に加入するべきと判断されるでしょうか。
保険料総額: 871,080円
100%補償型のペット保険に加入した場合の16年間の支払保険料の総額は、871,080円となります。
愛犬の医療費の総額が16年間で生涯予想医療費:871,080円を超えた場合は、当該保険に加入するメリットがあります。
パターン⑦: 大型犬(ゴールデン・レトリーバー)50%補償型
大型犬(ゴールデン・レトリーバー)が50%補償型の保険に0歳~16歳まで加入した場合に、総額いくら以上の医療費がかかれば保険に加入するべきと判断されるでしょうか。
保険料総額: 563,400円
50%補償型のペット保険に加入した場合の16年間の支払保険料の総額は、563,400円となります。
愛犬の医療費の総額が16年間で生涯予想医療費:1,126,800円を超えた場合は、当該保険に加入するメリットがあります。
パターン⑧: 大型犬(ゴールデン・レトリーバー)70%補償型
大型犬(ゴールデン・レトリーバー)が70%補償型の保険に0歳~16歳まで加入した場合に、総額いくら以上の医療費がかかれば保険に加入するべきと判断されるでしょうか。
保険料総額: 712,080円
70%補償型のペット保険に加入した場合の16年間の支払保険料の総額は、712,080円となります。
愛犬の医療費の総額が16年間で生涯予想医療費:1,017,257円を超えた場合は、当該保険に加入するメリットがあります。
パターン⑨: 大型犬(ゴールデン・レトリーバー)100%補償型
大型犬(ゴールデン・レトリーバー)が100%補償型の保険に0歳~16歳まで加入した場合に、総額いくら以上の医療費がかかれば保険に加入するべきと判断されるでしょうか。
保険料総額: 932,880円
100%補償型のペット保険に加入した場合の16年間の支払保険料の総額は、932,880円となります。
愛犬の医療費の総額が16年間で生涯予想医療費:932,880円を超えた場合は、当該保険に加入するメリットがあります。
犬のペット保険 保険に入るべき生涯予想医療費まとめ
これまでの結果をもとに、保険タイプ別にこの金額以上の医療費が発生すると保険に加入した方がお得になるという金額を整理します。
その金額はこの記事では【 生涯予想医療費 】として記載します。
0歳~16歳までの保険料支払い総額
まずは体のサイズ別・補償割合別に16年間の保険料支払い総額の金額を算出したものをまとめます。
保険料金は小型犬 < 中型犬 <大型犬 の順で高くなります。
また補償割合も50% < 70% <100% の順で保険料が高く設定されます。
病気・ケガの金額がこの金額(生涯予想医療費)を超えるならば保険に加入すべき
続いて各保険パターンごとに、16年間の医療費用総額がいくら以上であれば加入すべきと判断できるかという金額をまとめました。
掛け金が高い分、補償割合の高い保険サービスの方が生涯予想医療費が低い(つまり相対的に少ない医療費総額で保険料をペイできる)ということが分かります。
例えがよくないですが、よく病気する子、医療費の単価が高い(大きな手術など)を受ける可能性が高い愛犬は保険の利用率が高い傾向にあります。
つまり体が弱い子ほど補償割合が高い保険(その分保険料月額も高い)に加入すべきということでデータから読み取れます。
しかし一つ注意が必要な点は、この資料は【 補償限度額 】を考慮していないということです。
1回の手術費用が100万円を超えるようなあまりにも高額なケースでは、保険サービスの補償限度額をを超える可能性が高く、100%補償型のサービスに加入していても全額保険金でまかなうことができません。
またあまりにも長期入院をするケースや、1年間のうちにごく集中的に医療費がたまたま発生してしまったケースなども補償限度ルールの適用対象になることには注意が必要です。
犬のペット保険 傷病ランキングを元に保険に入るべきかを検証してみました
先ほどまでは、支払保険料の総額をベースに、保険料がペイできる医療費総額(生涯予想医療費)を試算しました。
しかしこの方法は、ペイできる金額を割り戻しただけの逆算的なアプローチです。
しかしながら、愛犬をペット保険に加入させるべきかを検討するためには以下のような項目について、洗い出すことが重要になります。
・ 遺伝など病気の性質
・ 犬種に多い病気
・ 突発的な傷病リスク
検証の前提条件
アニコム損害保険株式会社の犬種別の傷病ランキングより、取得したデータを元に試算検証をします。
例えばトイ・プードル(9歳/メス)の傷病ランキングはこのようなデータになります。
このようなデータを元に、以下の前提条件で検証をしました。
【 試算の前提条件 】
・ アニコム社:どうぶつ診療費ドットコム より傷病に関するデータを取得する
・ 傷病ランキング上位5項目抽出(6位以下は考慮せず)
・ 突発的なリスクとして、骨折した場合の費用を1回分織り込む
・ 1回あたりの治療費は上記サイトの医療費の分布データの内、最も山の高いデータの金額を用いる
・ 傷病の回数(資料④の項目)は当サイト(わんダフルらいふ)独自の予想とする
・ ペット保険は0歳から16歳まで加入するものとする
・ 検証パターン①: 犬全体の病気ランキング
・ 検証パターン②: トイ・プードル(メス/9歳)の病気ランキング
・ サンプルとなる保険サービスの補償限度額や特約事項は考慮しない
パターン①: 犬全体の病気ランキングを元に試算
まずは犬全体の病気ランキングを元に、犬が16年間の間に掛かる病気と治療費用を算出しています。
犬全体のランキングでの疾患1位は外耳炎でした。
続いて胃腸に関する病気、嘔吐や下痢などの症状が続きます。
骨折以外の全ての病気は2年に1回掛かってしまう想定です。
一番右の『病気の割合(参考)』は、該当の病気にかかる犬が犬全体の何%にあたるかという統計です。
本記事では参考数値として記載していますが、試算の指標には採用していません。
試算の結果、犬全体の病気ランキングでは16年間で555,840円発生することが分かりました。
555,840円の医療費がかかった場合に、加入すべき保険はあるのでしょうか。
以下の資料はこれまでのデータを元に、犬のサイズと補償割合別の保険料総額と保険料をペイできる(保険に加入した方がよい)生涯予想医療費を合算したものです。
赤字で記載した金額が0歳~16歳まで保険に加入した場合の、保険料の支払総額です。
黒字で記載した金額が、赤字で記載した保険料を支払った場合に保険料をペイできる医療費総額(生涯予想医療費)です。
上記の資料の黒字の金額が、今回試算した金額(555,840円)を下回っていれば加入すべき保険ということになります。
資料を見ると、黒字の保険料をペイできる金額の医療費総額の最低費用は、小型犬の100%補償型保険です。
この場合の医療費総額は763,560円であり、試算結果である555,840円を下回っていません。
つまり、金額だけを見るとどの保険にも加入すべきではないという結論になります。
パターン②: トイ・プードル(メス/9歳)の病気ランキングを元に試算
次のパターンとして、小型犬(トイ・プードル(9歳/メス))のデータを元に医療費の総額を試算しました。
犬全体のランキングと比べて4位と5位は違う病気です。
いずれも手術を伴う可能性がある病気であり、手術費用を検証データとして採用しています。
この場合の医療費総額は、1,043,840円となりました。
加入をした方がよい保険はあるのでしょうか。
上記の資料の黒字の金額が、今回試算した金額(1,043,840円)を下回っていれば加入を検討する価値がある保険という事になります。
結論としては、赤字の枠で囲んだ7パターンの保険サービスが加入の検討に値するということが分かりました。
トイ・プードルは小型犬ですが、生涯予想医療費の金額を重視しているため、資料上は小型犬・中型犬・大型犬の区分を問わず加入検討対象とみなしています。
このように、愛犬がどのような病気にかかるかによって保険に入るべきかどうかという判断は大きく変わることがお分かりいただけたでしょうか。
犬の外科手術費用
犬のペット保険は外科手術には適用されることが多いです。
犬がかかりやすい外科手術について簡単にご紹介しておきます。
手術は一回当たりの費用も高く、またペット医療も高度化しているため医療費総額は高くなる傾向があります。
手術を行う機会があればペット保険に加入していた方がかなり安心できると言えます。
犬のペット保険 保険に入るべきかは【 決め 】の問題
この記事では様々なケースで犬のペット保険に入るべきか否かを検証してきました。
しかし、検証はあくまで検証であり、医療費用を完全に試算することは不可能です。
そのため、愛犬の高額医療出費に不安を感じるのであれば検討した方がよいですし、不安が全くないのであれば加入をする必要はないでしょう。
犬のペット保険に入るか否かを検討する場合は改めてこのようなことを考えてみて下さい。
〇〇歳まで生きると決める
保険に加入するのであれば、基本的には毎年保険を自動更新していくことになります。
実際の寿命は飼い主にも愛犬にも分からないため、愛犬が寿命を全うするまでの保険料の支払総額を確定させることは不可能です。
そのため、保険料の総額を試算するには、愛犬が〇〇歳まで生きる(生きてほしい)と決めて保険料を計算すると迷いがなくなります。
手元に保険料分の貯蓄があるか
保険料の総額を試算したところで、実際に保険料の支払総額分の貯蓄がすでにある場合は必ずしも保険に加入する必要はありません。
ただし、貯蓄は愛犬の医療費のみに使用すると決めて計画的な出費が必要になります。
保険料の支払いに該当するお金の自己管理ができるのであれば、保険に必ず加入する必要はなく他の有効な手立てを検討することも可能です。
どんな病気をしそうか予想する
愛犬の犬種や遺伝の情報などをもとに、本サイトでご紹介したような医療費の試算をしてみるのも有効な手段です。
事前に病気リスクの想定ができていれば、かなり適切な保険に加入することもできます。
また、病気にならないように愛犬の健康管理をしてあげることができます。
病気せず健康であることが一番大切なことなので、本来は愛犬の健康を維持・促進するために時間やお金を掛けたいものです。
もちろんその上でペット保険に加入すれば、対策としては完璧ですね。
【 完全保存版 】犬のペット保険|入るべき人(犬)と保険の選び方 まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は保険商品を選ぶ手前、そもそも愛犬をペット保険に加入させるべきか否かについて検討するための記事でした。
愛犬をペット保険に加入させると決めた後に、どのような保険に加入すべきかということについては別記事でご紹介します。
今回の記事のまとめです。
・ ペット保険に加入するなら愛犬が若いうちに加入しましょう
・ 補償限度額と補償割合を理解しましょう
・ 保険適用外の医療費にも目を向けましょう
・ 愛犬固有の健康面から、病気の予想をしてみましょう