犬の熱中症はよく聞く話ですが、実は非常に危険です。
体温が40℃を超えると熱中症にかかっている可能性が高く、適切な処置が必要です。
犬が熱中症にかかったら、応急処置をしてかかりつけの動物病院に急行しましょう。
この記事では、犬が熱中症にかかってしまった時の応急処置方法を中心に熱中症の危険性をお伝えします。
犬の熱中症について知りましょう
犬の熱中症はおおむね体温が40℃あたりに達することで発症します。
気温や湿度の激しい上昇に耐えられず、体温コントロールができなくなることで体の温度がぐんぐん上がっていきます。
熱中症は42℃を超えると最悪死に至ることもあり、一命を取り留めたとしても臓器に障害が残ることもあります。
症状の進行も早いため、いかに早く気づいて対処するかがとても大切になります。
犬は人間のように言葉を発することができません。
犬の熱中症を防ぐためには、わたしたち飼い主が熱中症の症状を正しく知ることが大切です。
熱中症の疑いがある犬の行動を予め理解しておくと、いざとなった時に冷静に対処ができます。
熱中症の症状と応急処置の必要性
犬が熱中症になるとどのような症状が現れるのでしょうか。
まずは、下の図のように、犬の熱中症は40℃前後からであることを覚えておきましょう。
41℃を超えると熱で臓器が破壊され始め、42℃に達すると半数が死亡するといった報告もあります。
40℃に迫ると熱中症の進行がかなり進んでいると考えられます。
そのため、すぐに動物病院に連れていくことが必要です。
もう少し詳しく熱中症の症状を見ていきます。
【 犬の熱中症 】初期段階
犬の熱中症の初期段階は、体温を下げようとして『ハッハッハッ』という呼吸(パンティング)が多くなります。
散歩や遊びが終わってもずっとパンティングが続くと熱中症の疑いがあります。
皮膚から熱を逃がそうと血流も増えます。
犬が疲れたり、元気がなさそうな表情を見せることがあります。
・浅くて速い呼吸が続く
・よだれが多くなる
・体が熱い
・落ち着きがなく歩き回る
【 犬の熱中症 】中期段階
中期段階になると臓器の機能が低下して、嘔吐や下痢などが見られることがあります。
目が充血していたり、行動が明らかに変化します。
体温は40℃程度ですが、この状態まで来たらすぐに病院へ連れていきましょう。
このタイミングでは既に応急処置が必要です。
【 主な症状 】
・吐き気や嘔吐
・下痢
・ふらつき、運動失調、脱力
・体が震える
・目や口などの粘膜の充血
・けいれん
・発作
・意識を失う
【 犬の熱中症 】最終段階
身動きもできない状況で致命的です。
吐血や発作、糞尿が流れ出てしまうなど、目も当てられないくらいに体に異常が発生します。
生命の危険が高く、この状態になるようなことがあってはいけません。
【 主な症状 】
・血便や血尿
・吐血
・動かない
・発作
・おしっこやウンチなどが流れ出てくる
熱中症の可能性がある犬の行動を知りましょう
このように、熱中症は放っておくと短期間で症状が悪化する恐ろしい病気です。
そのため、少しでも熱中症の疑いがあれば、すぐさま対処することが大切になります。
愛犬がこのような行動を取り始めると熱中症の可能性が高く、応急処置が必要です。
【 犬が熱中症にかかっている時の行動 】
① 動きたがらない
② 過度のパンティング(舌を出してハッハッハッと息をする)が続く
③ いつも以上によだれがでる
④ 毛の少ない耳やおなかをさわって熱い
※とても熱いと感じたら中程度(39℃~40℃)の熱中症の可能性がある
⑤ 食欲がない、元気がない
⑥ 目や口腔粘膜の充血
⑦ ぐったりして起き上がれない
⑧ 吐き気・嘔吐・下痢の症状
※熱っぽさも合わさると熱中症である可能性が高い
⑨ 意識を失ってけいれんを起こす
★犬は言葉で主張できません。飼い主が気付いてあげる必要があるのです
下位の項目はかなり重篤であり、上位の行動や様子で熱中症の疑いを持ってください。
犬の熱中症に関するみんなの経験
ここで、アクサダイレクト社が実施したペットの熱中症に関するアンケートをご紹介します。
一般の犬・猫の飼い主さんが経験した熱中症に関する興味深い情報が読み取れます。
意外にも室内にいる時に熱中症になったケースが一番多いのです。
散歩中は二番目に多い項目でした。
このデータだけでも、熱中症対策は室内対策が重要であることが分かります。
※熱中症の室内対策は当サイトでも単独記事にしており、当記事の最後にリンクがあります。
続いて、ペットが熱中症になった時の症状についてです。
やはり元気がなさそうにしていたり、息苦しそうにしていたりという理由が上位に挙がってきています。
本記事でご紹介した犬の熱中症の疑いがある行動と合致しています。
続いて、熱中症にかかった時の飼い主さんが取った実際の行動についてです。
上記は水を飲ませたり、体を冷やしたりといった対処方法でした。
以後の内容で、この対処方法を詳しく見ていきたいと思います。
犬が熱中症になった時の応急(緊急)処置
実際に犬が熱中症にかかった時はどのように応急処置を行えばよいでしょうか。
まずは順を追ってみていきましょう。
応急処置はあくまで動物病院に連れていくことを前提としたものです。
動物病院に連れていくまでの間の処置方法として、読んでみて下さい。
犬が熱中症になった時の応急処置① 動物病院に連絡して指示を仰ぐ
まずはかかりつけの動物病院に電話して症状を伝えましょう。
すぐに連れてきてと言われた場合は⑤の項目に進んでください。
かかりつけの病院に連絡が取れないことも想定して、普段からセカンドオピニオンを仰げる動物病院を見つけておくことが望ましいです。
そうでない場合でも、連絡が可能な動物病院をいくつか携帯電話に登録しておくと安心です。
犬が熱中症になった時の応急処置② 涼しい場所に移し水を飲ませる
熱中症だと感じたら、屋外だと日陰、室内だと冷房の効いた涼しい場所に移動させます。
移動させて、水を飲ませてあげましょう。
冷房は最低温度に設定して、室内を早く冷やして下さい。
犬が熱中症になった時の応急処置③ シャワーで水を掛ける
室内であればシャワーで水を掛けながら体を冷やします。
全身に水を掛けるのがよいですが、指で毛を逆立てて皮膚に直接水が掛かるようにするとよいです。
水は腰の方から掛けることで全身に行き渡りやすくなります。
保冷剤や氷が入った袋などで、首や脇、内ももなどの太い血管が走っている個所を同時に冷やしましょう。
効率よく体温を下げることができます。
この時に、部屋の温度をエアコンで急速に冷やす設定をすることも並行して行いましょう。
屋外で熱中症になった場合は、タオルなどを体にかけ、同様に水を腰から掛けていきましょう。
犬が熱中症になった時の応急処置④ 浴槽や噴水などにつける
水をかけても体温の低下が感じられない場合は、浴槽や噴水・池などの水たまりに愛犬をつけます。
仰向けで水につけないようにして下さい。
うつぶせの状態で頭は出した状態で体全体を水にひたします。
犬が熱中症になった時の応急処置⑤ 保冷剤などで冷やしながら動物病院へ連れていきましょう
首や脇、内ももなどに保冷剤を当てながら動物病院へ連れていきましょう。
濡れたタオルで全身をくるんであげるとなお良いです。
犬の熱中症の応急処置でやってはいけないこと
熱中症になった愛犬を見ると、飼い主もパニックになることもあります。
ここでは、熱中症の応急処置としてやってはいけないことをご紹介します。
氷水で冷やす
犬の体を冷やす時は必ず『水』にしましょう。
氷水で冷やすと血管が収縮し、放熱がうまくできなくなる可能性があります。
また、急激な冷たさによるショック症状など、別の弊害を引き起こすことがあるので注意が必要です。
体温が39℃以下まで冷やし続けない
犬の平均的な体温は38℃~39℃前後です。
個体差がありますが、愛犬の平熱以下になるまで冷やし続けないようにして下さい。
塩分を与える
人間と違って犬はほとんど塩分を必要としない動物です。
そのため、熱中症の応急処置として塩分を与えるのはやめましょう。
塩分の過剰摂取は腎機能に悪影響を与え、別の病気に繋がる原因になってしまいます。
無理やり水を飲ませる
熱中症の予防や応急処置として水を飲ませることは有効な対策です。
しかし、無理やり水を飲ませることはやめましょう。
気管支に水が入ったりすると、余計に危険な状態になる可能性があるためです。
自己判断で病院に連れて行かない
熱中症の応急処置をした後は動物病院に連れていきましょう。
応急処置の効果が見られるのは、処置開始後1時間程度だと言われています。
しかし熱中症が発症してから2時間以上経過している場合など、すぐに対処ができなかった場合は注意が必要です。
応急処置をして一見症状が改善したように見えても、臓器に何らかのダメージが残っている可能性があります。
熱中症は臓器不全などの後遺症を残すこともある危険な病気です。
ですから、一見症状が回復したように見えても必ず動物病院に連れていき、獣医師の診察を受けて下さい。
【 犬の熱中症 】予防と応急処置|大切な命を必ず守る5つの方法 まとめ
犬が熱中症にかかってしまうと、飼い主である皆さんもパニックになると思います。
ただし、応急処置を事前に知っておくことで少しでも落ち着いて対処ができるのではないでしょうか。
というわけで、今回はいざという時のための熱中症対策としての応急処置をご紹介しました。
最後にこの記事の主なまとめです。
① かかりつけの動物病院に連絡し、指示をもらう
② 水を飲ませる
③ 体を水でしっかりと冷やす
④ 水風呂や噴水、池などにつける
⑤ 体を冷やしながら動物病院へ連れていく
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