犬は熱中症になりやすい生き物です。
全身が被毛に覆われ、汗もかきにくいので熱中症にならないために予防対策をすることを強くオススメします。
この記事は愛犬が外出時や散歩中に熱中症になることを予防することを目的にしています。
熱中症の症状を理解して、早めの対策をすることが大切です。
熱中症の特徴について
熱中症は、気温や湿度の上昇により、体温調整がうまくいかないことが原因となり発症します。
体温を下げるための機能不全により、体温が急激に上昇することで体に様々な異変がおこります。
熱中症は症状の進行が早く、数分で急激に悪化することもあり侮れません。
42℃を超えると生命に関わるレベルとなり、この状態に至ることがないように予防や早めの対処が大切になります。
熱中症関連で覚えておきたい数値指標
熱中症で重要になる3つの数値があります。
それは、『気温』『湿度』『体温』の3つの指標です。
以下に紹介する数値はおおよその目安ですが、覚えておくと日頃の予防から熱中症にかかった時の対処まで役に立つこと間違いありません。
犬が快適に過ごせる室温&温度
まず犬が安心して快適に過ごせる気温と湿度に関する数字です。
犬が快適に過ごせる気温は23℃~26℃、湿度は45%~60%の間であると言われています。
犬は被毛で全身が覆われているので、人間に比べて気温は低めでも問題ありません。
また、湿度も50%くらいが適正だと言われています。
犬は体温を下げるという意味ではわたしたち人間ほど器用ではありません。
犬が自力で体温を下げる方法は、『パンティング』と言われる行動です。
これは、舌を出して『ハッハッハッ』としている、アレのことです。
唾液を舌から蒸発させることで、蒸発時に熱が放射されることで体温を下げています。
人間は汗腺という汗をかく線から出た汗が蒸発する時に体温が奪われます。
その作用を利用して体温を下げるのですが、犬の場合は汗腺がある場所は鼻や肉球など非常に限られたところにしかありません。
そのためパンティングにより体温を下げようとするのですが、湿度が高いと水分は中々蒸発しません。
つまり湿度が高いという事は犬の体温低下が妨げられ、結果として熱中症の助長することにつながってしまうのです。
適切な気温だけではなく湿度も重要であることを理解しておきましょう。
熱中症になる体温について
おおむね体温が40℃前後になった時に熱中症の症状が強く現れます。
犬の平熱は37.5℃~39℃前後で大型犬よりも小型犬の方が平熱が高い傾向にあります。
ちなみに心拍数や脈拍数も小型犬の方が多いです。
大切なことはやはり体温を上げないことです。
日頃から体温を測ることも大切ですが、何より愛犬の体温を肌で記憶しておきましょう。
緊急時にはすぐに体温が図れる状況である可能性は低いため、肌感覚が非常に大切になります。
愛犬とは常にコミュニケーションを取っておくことで、こうした事態になったとしても役に立ちます。
40℃を超えると熱中症の症状が強くでます。
41℃以上は本当に危険な領域です。
自力で対処することが困難になるため、動物病院へ急行して下さい。
熱中症も段階があり、症状が異なります
熱中症も初期段階では飼い主が自力で処置することもできます。
しかし、熱中症は症状の変化が早いため、気が付いたら病院に行くことをオススメします。
飼い主として知っておきたい犬の熱中症の代表的な症状を以下にご紹介します。
【 犬の熱中症 】初期段階
体温もまだ30℃台ですが、体には負担が掛かっています。
パンティング(ハッハッハッと舌を出して息をする)が多くなり、よだれの量が増えます。
外を散歩している時にこの症状になったら、即散歩は中止して木陰に移動するなどしましょう。
・浅くて速い呼吸が続く
・よだれが多くなる
・体が熱い
・落ち着きがなく歩き回る
【 犬の熱中症 】中期段階
体温はさらに上がり40℃前後に達します。
目や口などの粘膜も充血するため、見た目にも変化が現れます。
嘔吐や下痢になることもあり、けいれんを併発することがあります。
中期症状はかなり危険なサインです。
すぐにかかりつけの動物病院に直行して下さい。
動物病院には電話連絡をして、事前に熱中症であることを電話で伝えておきましょう。
病院到着後にすぐに処置できることで、生存率がかなり上がります。
病院へ向かう最中は首や脇、股など太い血管が走っている部分に保冷剤などをあて体温を少しでも下げる処置が有効です。
【 主な症状 】
・吐き気や嘔吐
・下痢
・ふらつき、運動失調、脱力
・体が震える
・目や口などの粘膜の充血
・けいれん
・発作
・意識を失う
【 犬の熱中症 】最終段階
体が明らかに暑く、もはや体を動かすこともできない状態です。
42℃を超えると死亡するケースがかなり見られ、死亡率は50%に達するとも言われています。
最終段階に突入することは絶対に避けなければなりません。
命を落とすことは回避できても、臓器に障害が残る可能性があります。
【 主な症状 】
・血便や血尿
・吐血
・動かない
・発作
・おしっこやウンチなどが流れ出てくる
【 熱中症で後遺症が残るケース 】
① 脳障害
② 腎障害
③ 心不全
④ 多臓器不全
【 驚愕 】人間と犬との体感温度はこんなにも違うんです
犬の熱中症は重篤になれば危険であることがお分かり頂けたかと思います。。
外出したり散歩に出かけることはとても楽しいことですが、直射日光を浴びすぎることが直接熱中症のリスクを高めます。
外出時や散歩中の熱中症対策についてご紹介する前に、覚えておいて頂きたい驚きの調査結果があります。
ペット損害保険大手のアニコム社の調査になります。
以下の資料は2014年7月30日 14時に東京都新宿区にあるアニコム社にて計測された気温に関するデータです。
出典:アニコム損害保険株式会社「STOP熱中症新聞VOL.2」
身長160cmの人間の首あたりの気温は32.3℃であるのに対し、体高約30cmの小型犬の顔周りの気温は38.1℃となっています。
さらに足元はなんと49.2℃になっており、低温やけどするくらいの温度になっています。
人間と犬との感じる温度の差は約【 17℃ 】という信じられないような調査結果です。
さらに同社の発表した資料には、このような興味深い記載があります
熱中症予防という観点で天気予報を見る際、やはり気温の数字に注目がいくと思います。
実はこの気温、私たちやワンちゃんたちの感じている数字より何℃か低いのです。
気象庁では、風通しがよく直射日光の当たらない芝生の上で気温を測定しています。予想気温というのは、
(中略)
つまり、気象庁が最高気温を 30℃と予想した場合、日差しの強い昼間にワンちゃんをお散歩させるとなると、40℃くらいの中を歩かせることになるのです。
また、予想最低気温も熱中症予防に重要な情報です。最低気温が高ければ、夜間も気温が高いことになるため、夜の熱中症の危険性が高まります。
(中略)
つまり最低気温は、翌日にかけての気温傾向を示してくれています。
予想最低気温が高い場合は、翌日いっぱい熱中症に注意が必要だと言えるでしょう。
このデータや記事からわたしたちが得られる教訓は、このようなものだと言ってよいでしょう。
【 外出&散歩中編 】犬の熱中症対策
犬の熱中症対策① 散歩は早朝もしくは夕方以降に
先ほどのデータから、犬と人間の屋外で感じる気温の差は10℃はあることが分かりました。
したがって、夏場の散歩は時間帯と場所を選ばないと危険です。
基本的に散歩は早朝(5時~7時の間)もしくは、夕方以降(17時以降)に連れていくことが望ましいです。
また、風通しがよく、散歩中も日陰が点在しているコースと選ぶとよいでしょう。
アスファルトやマンホールはかなり熱くなるため、散歩させるのはやめましょう。
日中のアスファルトは60℃近くになることもあり、肉球の火傷の原因にもなり、大変危険です。
散歩が毎日のルーティンになっている飼い主のみなさまも多いと思います。
早朝もしくは夕方に散歩に連れて行けそうにないといって、日中に無理に散歩に連れていくのはやめましょう。
この『やめる』という飼い主の的確な判断そのものが熱中症対策になるということを忘れないでくださいね。
犬の熱中症対策② 適度な休憩と水分補給を
愛犬を散歩させるときは30分に一度は木陰などで休憩をとるようにしましょう。
その時にはたっぷりと水を飲ませてあげることも忘れないようにしてあげて下さい。
水を飲むことで体温が下がり、脱水症状を防ぐことにもつながるからです。
夏場の散歩時には水の携行を忘れないように気を付けたいものです。
犬の熱中症対策③ 冷却アイテムを活用しましょう
冷却ジェルなどを使ったクールバンダナ、クールウェアなど愛犬のクールグッズもたくさん販売されています。
クールタオルにクールスプレーなどもあり、愛犬に適したアイテムを利用しましょう。
ポケット付きのハーネスなどもあり、ポケットの中に保冷剤を入れておくことも有効です。
その他、冷水で絞ったタオルを首周りに巻いてあげるだけでも熱中症対策になります。
犬の熱中症対策④ キャリーバッグ移動時にはペットボトルの氷を入れておく
キャリーバッグで移動する時は、バッグの中に凍らせたペットボトルをタオルで巻いたものを忍ばせておくこともオススメです。
水滴でバッグや愛犬がびしょ濡れにならないように、タオルなどでペットボトルはくるんだものを利用しましょう。
唯一の難点は、キャリーバッグを持つ飼い主が『重たい』という事ですが、氷も解けると飲み水としても使えるのであながち悪い方法ではありません。
犬の熱中症対策⑤ 被毛をカットする
寒冷地原産の犬種、ダブルコートや長毛の犬種は、被毛自体が放熱を防いでしまいます。
夏の期間だけは被毛を短くカットしてあげることも、即効性はありませんが立派な熱中症対策になります。
もちろん、普通の毛量の犬種でも有効です。
外出時の熱中症対策 携行品リスト
外出先で熱中症にかかってしまうと、自宅とは違いすぐに対策をとることができません。
そのため、夏場の外出時には以下のアイテムを携行することをオススメします。
✔ 水を凍らせたペットボトル(保冷にも飲み水にもなります)
✔ 保冷剤(体を冷やす)
✔ スポイトなど水を飲ませる器具
✔ タオル(水につけて体を冷やす)
✔ スマホ(最寄りの動物病院を探す、電話を掛ける)
✔ お金(動物病院に移動するためのタクシー代、水や氷を買う費用)
外飼いの犬の熱中症対策
外で飼育されている犬の熱中症対策も併せてご紹介します。
犬小屋は日陰やよしずなどの陰に
犬小屋は直射日光が当たる場所には置かないようにしましょう。
風通しがよく、日陰の場所に設置しなおしてあげるとよいでしょう。
よしずなどを置いて、日陰を作ってあげるような工夫もしてみて下さい。
移動範囲を確保してあげる
犬が脱走することが完全にできない環境であれば、細心の注意を払って放し飼いにしてもよいです。
そうでない場合はリードを長くキープしてあげましょう。
犬の移動範囲を確保してあげることで、日中の太陽の動きに合わせて犬が日陰に移動できるような環境を整えてあげることが大切です。
複数の水飲み場の確保
夏場は水が蒸発しやすく、雑菌も発生しやすいです。
そのため、水飲み場は複数用意し、こまめに水を取り替えてあげましょう。
新鮮な水をいつでも補給できるようにしてあげることで、体温上昇や脱水症状を防ぐことにつながります。
地面の温度を下げる
夏場の地面の温度も犬の熱中症には大きく影響します。
そのため、打ち水やシャワーなどで、定期的に地面の温度を下げてあげましょう。
打ち水をするだけで、地面の温度は1℃~2℃下がります。
直射日光対策だけでなく、地表の温度にも気を付けてあげることで熱中症のリスクを抑えることができます。
犬の熱中症対策 【 外出や散歩中の予防編 】 まとめ
今回は犬の熱中症対策として、外出時や散歩中の対策についてお伝えしました。
外出時は熱中症対策を行いにくいため、熱中症対策用アイテムをひとまとめにしておくことをオススメします。。
ということで今回の記事のまとめです。
・日中の散歩は避け、アスファルトを歩かせない
・十分な水や氷を携行する
・外飼いの犬には、日陰と水の確保が特に重要
熱中症に関する記事は他にもあります。
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