犬の涙やけに効果があるとされる『ホウ酸水』
この記事ではなぜホウ酸水が犬の涙やけ対策として有効なのかという事について説明します。
涙やけの原因を知り、ホウ酸水でしっかりと対策をしていきましょう。
この記事ではホウ酸水の正しい作り方と保存方法、ペットへの使用の仕方について説明します。
重曹水との違いについても触れています。
犬の涙やけの原因は『涙で濡れたところに発生した雑菌』によるもの
まず、犬の涙やけはなぜ起こるのか、その理由を正しく理解しましょう。
犬の涙やけの原因は、涙で濡れたところに発生した雑菌によるものです。
涙そのものが原因ではなく、涙から副次的に発生したものが原因だったのですね。
涙やけは医学用語ではありません。
主に目頭から鼻にかけて涙が流れるラインに沿って、被毛が赤茶色に変色した状態が涙やけと呼ばれています。
目からあふれた涙を放置しておくと、涙に含まれた脂分やたんぱく質をエサとして雑菌が繁殖します。
雑菌が繁殖する過程で、被毛を赤茶色に変色させることがあり、これが直接的な涙やけの原因となります。
つまり、目からあふれた涙を放置しないことが涙やけ対策として有効と考えられています。
涙が目からあふれだす原理
犬の目から涙があふれ出す症状のことを指して、流涙症と呼ばれることがあります。
涙が作られる量(生産量)が、涙が排出される量(排出量)を上回った場合に、目から涙があふれ出すことになります。
涙の生産と排出の仕組みは、簡単にこのような仕組みです。
- 目の耳よりの『涙腺』で涙が生産される
- 目頭近くにある『涙点』から涙を吸収
- 『涙小管』 ⇒ 『涙嚢』 ⇒ 『鼻涙管』 を通り、喉に流される
【 涙の排出システム 】
涙の生産量が多くなる原因は、目の周りのゴミや結膜炎などであることが多いです。
一方、涙の排出量が少なくなる原因は、鼻涙管のつまりや目の周りの筋肉が未発達であることがあります。
いずれにしても、
となった場合、目から涙があふれてしまうということを覚えておいて頂ければと思います。
これからご紹介するホウ酸水を使った涙やけ対策は、涙の生産量や排出量をコントロールするものではありません。
目からあふれだした涙に対する対策となります。
犬の涙やけにホウ酸水が有効である理由
ホウ酸(ホウさん、硼酸、Boric acid)もしくはオルトホウ酸は化学式H3BO3またはB(OH)3で表わされるホウ素のオキソ酸である。
温泉などに多く含まれ、殺菌剤、殺虫剤、医薬品(眼科領域)、難燃剤、原子力発電におけるウランの核分裂反応の制御、そして他の化合物の合成に使われる。
常温常圧では無色の結晶または白色粉末で、水溶液では弱い酸性を示す。
ホウ酸と言えば眼科領域でも医薬品になっており、殺菌効果が期待されるものとして有名です。
そして涙やけ対策としては、目の周りに発生した雑菌を殺菌する効果があることから有効であると考えられています。
この記事を読み始めた方は、涙やけを防ぐには目の周りの涙を拭いてあげればよいのではと思われた方もいるでしょう。
もちろん、こまめに目の周りの涙を拭くことも有効です。
しかしホウ酸水を涙やけ対策として利用する最大のメリットは、この『殺菌効果』にあります。
この点が涙をただ拭いてあげるのとは大きく効果が違ってくるポイントです。
ホウ酸は目薬の成分になっていることで有名ですが、刺激性が弱いため皮膚や粘膜の消毒に有効とされています。
ドラッグストアなどでも手軽に購入できることから、一般家庭における犬の涙やけ対策としては取り入れやすい方法です。
しかし、ホウ酸水の使用にはいくつか注意点もあります。
ホウ酸水の正しい作り方
ホウ酸水を作るために必要なものはとてもシンプルです。
①ホウ酸 ×3g(ドラッグストアで手に入ります。500gで1,000円程度)
②精製水 ×150ml(ドラッグストアで手に入ります。500mlで100円程度)
③保存用のボトル ×1本(150ml~200mlのもので、100均などで手に入ります)
- 精製水150mlを60℃に温める(火にかけて泡がポツポツ出始めるくらいが目安です)
- 保存用のボトルに精製水を入れて、ホウ酸3gを溶かします
- そのまま冷まして出来上がり
作り方は簡単なのですが、いくつか注意点があります。
・2週間で使い切るようにしましょう
・保存は冷蔵庫をおすすめします(結露などによる雑菌発生を防ぐため)
・水道水は塩素などが含まれるため精製水を使用してください
・ホウ酸水の濃度は2%以下にしないといけないので、レシピの分量を必ず守ってください
犬の涙やけを改善するためのホウ酸水の使用方法
ホウ酸水の正しい使い方をご説明します。
まずは、コットンを用意して下さい。
ティッシュは眼球を傷つける恐れがあるため、コットンを使用しましょう。
- コットンに先ほどのホウ酸水をたっぷりと含ませます
- 愛犬の目の周りから鼻にかけて涙が付着しているところに丁寧にコットンを当てていきます
- 最後に乾いた別のコットンで先ほど拭いた部分を拭きとってあげましょう
これを繰り返し継続していきましょう。
目元が涙で濡れている時間が短くなり、なおかつホウ酸の効果で殺菌効果が期待できます。
しかし、以下の点には十分注意をして使用して下さい。
・ティッシュではなく『コットン』を使用して下さい
・ホウ酸水で拭いた後は乾いたコットンで水分を拭きとってあげましょう
・目の周りに炎症や傷がある場合は使用しないでください(傷口からホウ酸が吸収されると悪影響となる可能性があります)
・コットンに付着したホウ酸水などを舐めさせないようにして下さい
ホウ酸の毒性は?重曹と比べてどうなのか?
ホウ酸の毒性はどのくらいか
ホウ酸はゴキブリ駆除などで用いられるホウ酸団子などの成分でもあるため、毒性があり危険なのではとお考えの方もいらっしゃると思います。
たしかに、ホウ酸はゴキブリやシロアリなどの腎臓を持たない生物は、その作用で脱水症状が起きて死滅することがあります。
しかし、腎臓機能を持っている生き物(人間や犬)は、腎機能で浄化して体外に排出することができます。
したがって、でゴキブリやシロアリと同じことにはなりません。
とはいえ、ホウ酸も直接接種をすると悪影響を及ぼすことがあります。
半数致死量(LD50)は 5 g/kg 程度で人間にとっては食塩と同程度の急性毒性であり、体重60kgでは約300gで半数致死量となる。
継続してホウ酸を摂取すると下痢など消化器系の不良が生じる可能性がある。
腎臓機能で排泄できない昆虫には毒性が強く現れ、通常殺虫剤として利用される。
半数致死量とは物質の急性毒性の指標、致死量の一種としてしばしば使われる数値で、投与した動物の半数が死亡する用量をいう。
引用:Wikipedia
これは人体への影響に関する情報ですが、3kgの体重で1.5g、2kgの体重だと1gが半数致死量ということになります。
適当な使い方をすると危険だと言えるでしょう。
用量を守れば効果的に使用することができるので、ホウ酸水を作る時はレシピ通りに作成をして下さいね。
重曹の成分と涙やけに対する効果
食品添加物に含まれている重曹(炭素水素ナトリウム)は、私たちの口に直接入ることもある成分です。
掃除などでも大活躍の重曹は100均などでも手軽に入手でき、わたしたちの生活に深く関わっています。
ホウ酸に比べると毒性は低く安全だと言われています。
しかし重曹は塩分を多く含んでいるため、過剰摂取はよくありません。
塩分の制限をしている犬は、重曹を誤って舐めさせないように特に注意が必要です。
また重曹は掃除などでも使われるように、脂分を乳化させたりたんぱく質を分解することができます。
雑菌のエサとなる脂分やたんぱく質を除去できることは、減菌効果も期待できます。
ただし重曹自体に殺菌や除菌の効力はありません。
たんぱく質の分解ができるということは犬の被毛や皮膚にも刺激を与えると考える方もいるでしょう。
しかし、重曹の分解力はそれほどまで刺激を与えるほど強くはありませんので安心して下さい。
被毛が柔らかく、皮膚がデリケートな犬にも試す価値はあります。
最近ではしばしばホウ酸と比較されるようになった重曹ですが、当サイトでは以下の切り口で両者の違いをまとめてみました。
【 ホウ酸 VS 重曹 】
殺菌や消毒に強い期待をするのであればホウ酸、安全性重視であれば重曹、といった具合でしょうか。
どちらも決められた使用方法に基づいて使用すれば危険性は回避することができます。
飼い主である皆さまの考えと、ワンコの特徴でどちらの方法にするか決めるとよいと思います。
重曹水に関する記事はこちらです。
犬の涙やけに困っていませんか? 犬の涙やけ対策として最近注目を集めてきている【 重曹 】を使った方法。 いったいどの程度効果的なのでしょうか。 この記事では犬の涙やけの原因、重曹水の作り方と正しい使用方法が分かります。 […]
ホウ酸で犬の涙やけは消える?ホウ酸水の作り方と重曹水との徹底比較 まとめ
最後に今回の記事をまとめます。
・ホウ酸水は『雑菌』の殺菌に効果が期待できます
・ホウ酸水は正しい用量を守って作りましょう
・ホウ酸水を含ませたコットンで拭いたあとは、乾いたコットンで二度拭きをしましょう
犬の涙やけの原因を知っていますか。 飼い主にとって大きな問題である『犬の涙やけ』 放っておくと皮膚に大きなダメージを負うこともあります。 犬の涙やけを治すためには、まずは飼い主が涙やけの原因を正しく理解する必要があります。[…]