犬が食べてはいけないものを飲み込んでしまう、いわゆる『誤飲』は実はよくあることです。
特にプラスチックを誤飲してしまうという話をよく耳にすることがありませんか。
うんちと一緒に誤飲したものが出ればよいのですが、誤飲は窒息状態を引き起こして最悪死につながる可能性もあり、あなどることができません。
この記事では愛犬がプラスチックを誤飲してしまった時の症状や対処法についてご紹介します。
最悪のケースを回避するための緊急処置や、やってはいけないこともお伝えします。
この内容を知っておけば、愛犬が万が一誤飲した時でも慌てず対処することができるでしょう。
犬はなぜプラスチックを誤飲してしまうのでしょうか
犬はプラスチックを食べたいと思っているわけではありません。
それでもプラスチックを誤飲してしまう犬が後を絶たないのはなぜでしょうか。
多くのケースは、遊んでいる最中にプラスチックを誤って飲み込んでしまうようです。
ペットボトルのキャップや人形についたボタンなど、犬が夢中になって遊んでいる時に誤飲してしまうことがあります。
プラスチックはわたしたちの生活において身近なものですが、愛犬の遊び道具としては不向きです。
愛犬には万が一食べたり込みこんだりしても健康被害がない材質のおもちゃを与えてあげると安心です。
犬がプラスチックを誤飲した時の症状
それでも何かの拍子に愛犬がプラスチックを誤飲してしまった。
そんな時はどのような症状が見られるのでしょうか。
犬がプラスチックを誤飲した時の症状①: 嘔吐
一番多い症状として『嘔吐』が挙げられます。
嘔吐物として誤飲したプラスチックが吐き出されれば問題ありませんが、誤飲した全てが吐き出されているか分からないことがあります。
嘔吐の症状が見られる場合は腸閉塞など他の症状も引き起こしている可能性があります。
基本的に動物病院に連れていった方が安全ですが、目を離さずに観察することが大切です。
犬がプラスチックを誤飲した時の症状②: 食欲減退
毎日しっかりとご飯を食べているのに、ご飯やおやつをあげてもそっぽを向いてしまう。
そんな時は誤飲の可能性があります。
ボタンなどのプラスチックを誤飲してしまい、体が拒否反応を示しているため食欲減退につながっているのです。
犬がプラスチックを誤飲した時の症状③: うんちが出なくなる
犬が誤飲してしまうと、うんちの量が減ったり時にはうんち自体が出なくなってしまうことがあります。
これはプラスチックなどの異物が消化器のどこかに詰まってしまい閉塞の症状を起こしていることが原因です。
いつものうんちの大きさや回数と比べて明らかに異なる場合は、誤飲による閉塞の疑いもあるため、動物病院で適切な処置を受ける必要があります。
犬がプラスチックを誤飲した時の症状④: 腹痛
犬が異物を誤飲してしまった時に、激しい腹痛に見舞われることがあります。
普段と様子が違いうずくまっているような姿勢を見せる、突然普段とは違う鳴き方をしたりする場合は誤飲の可能性があります。
動物病院にまずは電話して、症状を伝えるとともに適切な指示を仰いで下さい。
誤飲したプラスチックはうんちと一緒に出ないのか
誤飲したプラスチックはうんちと一緒に出ないのかという疑問があるでしょう。
確かに誤飲した異物はうんちと一緒に出る可能性があります。
プラスチック(ビニールなど含む)の形が鋭いものではなく、大きさも愛犬の体に比べてごく小さなものであれば、うんちと一緒に出てくる可能性があるでしょう。
飼い主が愛犬の飲み込んだものを知っていると、うんちを調べれば排出されたか分かると思います。
愛犬の体に比べて大きなものであればうんちとしては出にくく、腸閉塞などの危険な病気につながる可能性があります。
また形状がするどければ、うんちと一緒に出たとしても、その過程の中で腸管などを傷つけてしまう可能性もあります。
うんちと一緒に誤飲したものが出たとしても、その後の愛犬の様子を注意深く見守ってあげて下さい。
犬がプラスチックを誤飲した時の対処法
愛犬がプラスチックを誤飲してしまった時の対処方法ですが、まずは誤飲したものの形や大きさを把握しましょう。
誤飲をしてしまった時間や、誤飲した後に見られた症状を覚えておいて下さい。
その上でまずは動物病院に電話をして、症状を詳しく伝えるとともに今後の指示を仰ぎましょう。
まずは動物病院に連絡を取ることが大切です。
飼い主が緊急処置により異物を吐き出させるケース
動物病院に連れていく間もなく、飲み込んだ異物が気道に詰まってしまうと呼吸困難になり窒息状態になるケースがあります。
そのままだと窒息死という最悪なケースにつながるため、このような緊急事態には飼い主自らが緊急処置をしなければなりません。
飼い主が自ら緊急処置を行う方法については、こちらのサイトにプロフェッショナルの方が執筆された記事があります。
以下上記サイトから引用させて頂き、緊急処置の方法をご紹介します。
応急処置の方法①: 背部叩打法(対象:中型犬以上)
背部叩打法は中型犬以上に有効な応急処置です。
【 背部叩打法とは 】
反応のあるペットに対して、肩甲骨の間を5回ほど強くたたくことを繰り返し、気道異物を除去する方法。
ペットが咳をして吐き出そうとするタイミングに合わせるとさらに効果的です。
★実施ポイント(小型犬、中型犬)
・利き手の反対側の手を前足と後ろ足の間から入れて、ペットの顎(あご)を軽く支えます。
※顎を支える理由は、叩いたときのむち打ちのような症状を緩和するため。・指を折り曲げた状態にして、ペットの口を見ながら、利き手の手根部を使って肩甲骨の間を叩きます。
・叩く位置は肩甲骨と肩甲骨とび間(胸椎の3番から6番)を目安に叩きます。
応急処置の方法②: チェストトラスト法(対象:小型犬)
チェストトラスト法は、小型犬を対象とした応急処置の方法です。
【 チェストトラスト法とは 】
四つ足で踏ん張っているペットに対して、覆い被さるような姿勢で、両手の指を上に向けた状態で大きく広げ、ペットの肩口を両側から同じ力とタイミングで押し、胸部を圧迫して気道異物を除去する方法です。
ペットが気道の異物を吐き出そうとするタイミングに合わせると効果的といわれています。
★実施ポイント
・猫、小型犬には効果的ですが、中型犬以上は背部叩打法かハイムリック法を勧めています。・目安として肩甲骨から肋骨4番くらいまでを両サイドから両手の平を大きく広げて肘を横に立てて、挟むように同時に圧迫します。
応急処置の方法③: ハイムリック法(対象:中型犬以上)
ハイムリック法(腹部突き上げ法)は中型犬以上に有効な応急処置です。
【 ハイムリック法(腹部突き上げ法)とは 】
反応のあるペットに対して、拳を上腹部に当て、斜め上方に圧迫して、体内圧を高めて気道異物を除去する方法です。
ペットが吐き出そうとするタイミングに合わせると効果的です。ただし、一般的に小型犬には行いません。
効果的な要領は、ペットの背後から、左手でげんこつを作り、人差し指と親指の面をペットの上腹部(みぞおちとへその中間部)に当てます。
このとき握りこぶしが剣状突起や肋骨に当たらないように注意が必要です。
次にペットの背中を施術者の腹部で受け止めるようにあてがった状態で、左手の拳を右手で覆った状態で突き上げます。
異物が除去できた場合でも、内臓損傷を疑って、動物病院に連れて行くことをお勧めいたします。
★実施ポイント
・ペットの後ろから密着して行います。
・犬の肋骨は13本あります。
以上、全て犬曰く 様から引用させて頂きました。
上記サイト様には写真付きで詳しい方法が掲載されていますので、もっと知りたい方はご覧になることをオススメします。
犬が誤飲した時にやってはいけないこと
愛犬が誤飲してしまった時に嘔吐を促す手段として、塩を飲ませるといったことがインターネット上の情報でよく見られます。
しかし犬はもともと塩分をほとんど必要としない生き物です。
塩分を過剰摂取させることにより、別の重篤な症状を引き起こす可能性があります。
そのため独断でこうした処置をせずに、動物病院へ連れて行き適切な治療を受けさせてあげましょう。
誤飲による危険な症状
これまでご紹介してきたように、犬の誤飲は甘く見ていると最悪死にもつながることがあります。
最も安全な方法は動物病院に連れていくことです。
また、誤飲による症状としては腸閉塞などの外科手術が必要になることがあります。
犬の誤飲による危険な症状としては主に以下の4つです。
誤飲による危険な症状①: 食道閉塞
飲み込んだ物は食道を経由して胃へ運ばれます。
誤飲した物が食道を通過できないほどのサイズの場合、食道で詰まってしまいます。
この状態を食道閉塞と言います。
食道閉塞を起こすと、嘔吐するようなしぐさを見せたりよだれがずっと出てしまうような状態になります。
食道閉塞になってしまった場合は動物病院で内視鏡を使用して異物を摘出する必要があります。
誤飲による危険な症状②: 気道閉塞
先ほどご説明した緊急処置が必要になるケースがこの気道閉塞です。
誤飲した異物が食道手前の気道を塞いでしまい、窒息死につながる可能性があります。
飼い主が吐き出させる方法と、外から異物を確認することができればピンセットなどで取り出す方法があります。
誤飲による危険な症状③: 腸閉塞
プラスチックなどの異物が胃に入り、そのまま腸まで到達してしまうことで腸の内部を塞いでいる状態が腸閉塞です。
腸閉塞になると腹痛や嘔吐、下痢や食欲低下などの症状が見られます。
腸閉塞の処置は外科手術となります。
誤飲による危険な症状④: 腹膜炎
プラスチックなどの異物が腹腔臓器を傷つけることで、腹腔内に胃や腸の内容物(うんちなど)が流れ出されることで細菌感染が起こることがあります。
この状態を腹膜炎と言います。
腹膜炎になると激しい腹痛が出るためお腹を触られるのを嫌がったり、痛みを耐えるために体を丸めたりする姿勢を見せます。
発熱、震え、嘔吐や脱水症状、お腹が腫れてパンパンになるような症状も見られます。
本来この状態まで放置することはあってはなりませんが、とにかくすぐに動物病院へ連れて行って下さい。
治療方法としては、滅菌のための抗生物質の投与や、症状が重症化している場合は外科手術が必要になる大変恐ろしい病気です。
犬の病気ランキングでも『誤飲』は上位です
これまでご紹介してきたように、犬の誤飲は身近な傷病です。
実際に犬の傷病ランキングでは誤飲は堂々の5位に入っています。
また、犬・猫に多い手術のランキングではなんと3番目に多いという結果になっています。
こうしたデータからも分かるように、誤飲はわたしたち飼い主にとっても非常に身近なものです。
甘く見ていると最悪死につながるような恐ろしい病気ですので、日頃から気を付けて愛犬の様子を見守りたいものです。
愛犬にプラスチック誤飲させないために注意しておきたいこと
では愛犬にプラスチックを誤飲させないために、飼い主が注意したいことはどんなことでしょうか。
具体的にはこのような対策が考えられます。
【 犬の誤飲防止対策 】
・ 床になるべく物を置かない
・ こまめに掃除機をかける
・ ゴミ箱にはふたをする
・ 物は引き出しにしまうこと
・ キッチンなどには柵を設ける
・ 散歩中の拾い食いに気を付ける
とにかく床にものを置かず、家の中を掃除することが大切です。
おもちゃなども飼い主がいる時だけ与える、など飼い主の目を離した隙に誤飲しないように気を付けることが大切です。
犬がプラスチックを誤飲した時の症状と対処法|うんちで出ないこともある まとめ
いかがでしたでしょうか。
誤飲は甘く見ていると恐ろしい症状につながることもあります。
日頃から家の中を整理して、愛犬が極力誤飲しない環境を整えてあげましょう。
今回のまとめはこちらです。
・ 気道閉塞になった場合は緊急処置が必要になることがあります
・ 何よりも誤飲しない環境を整えることが大切です
その他犬がかかりやすい病気について、別の記事でまとめています。
犬種別の病気ランキングについてはこちらをご覧下さい。
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