愛犬の命に関わる救急症状が見られたら、私たちは一体どうすべきでしょうか。
この記事では、前回に続き、犬の救急症状に関する記事の後編になります。
愛犬に救急症状が見られたら
愛犬に救急症状が見られたら、まずは動物病院に電話をして落ち着いて状態を説明しましょう。
診療時間外なら救急対応の動物病院へ連絡して下さい。
応急処置の必要性や受診する時にもっていくもの、愛犬を運ぶ時の注意点などについて指示を仰ぎましょう。
医師から指示された方法で愛犬を連れていきます。
吐しゃ物など、持参を指示されたものもなるべく携行するようにしましょう。
犬の救急症状: 見た目の症状
お腹がきゅうにふくれる
短時間の間にお腹が急に張ったり膨れてきたと感じた場合は、腫瘍などが原因でお腹の中で大量出血している可能性があります。
死の危険性も高い胃拡張胃捻転症候群になっている可能性もあるため、動物病院での緊急処置が必要です。
口の中や歯茎、舌が青紫色になっている
口内や歯茎、舌などが青紫や赤黒くなっている場合は、血液中の酸素が不足しているサインです。
心臓や肺、機関などの疾患が原因の場合が多く、早急に適切な治療を受けないと危険です。
皮膚や歯茎、白目が黄色くなっている
皮膚、歯茎、白目や、おしっこの色や耳の粘膜が黄色く見える時は『黄疸(おうだん)』の危険性が考えられます。
肝臓病や胆嚢炎などが原因である可能性があります。
体内の毒素の代謝を行う臓器に関する症状なので、救急処置が必要です。
1~2ヵ月で急激に痩せていると危険のサイン
食欲や運動量も普段と変わらないにも関わらず、1~2ヵ月の間で体重が15パーセント以上減った場合はかなり危険な状態です。
糖尿病、腎臓病、肝臓病などの病気の可能性もあります。
動物病院を受診するようにして下さい。
犬の救急症状: 目に関する症状
目の大きさが急に変わる
目の大きさが急に変わって、左右の大きさも異なる場合は緑内障の急激な悪化を示す症状です。
緑内障は眼圧が上がることで視神経や網膜に障害が発生する病気です。
片目だけ発症した場合は、その目だけ眼圧が高まり大きく見えることがあります。
緑内障を起こしている目だけが同行が拡がって見えることもあります。
目が上下や左右にビクビクと動き続ける
眼球が規則的に小刻みに触れる症状を眼振と言います。
腫瘍など脳の重大な疾患が原因の可能性があります。
命に別状はない前庭疾患という病気で眼振が現れることもありますが、飼い主さんでは原因特定が難しいため、動物病院を受診しましょう。
目をしょぼしょぼさせてほとんど開けない
このケースは角膜潰瘍やぶどう膜炎、緑内障などで目に痛みを感じているような状態です。
命の危険はないものの失明する可能性が高いので至急受診するようにしましょう。
目の症状は命の危険に即つながるわけではないですが、犬自身が目をひっかくなどして新たな症状を引き起こしたり、果てには失明に繋がることもある深刻な状況になる可能性があります。
そのため、目の異変を感じた場合は迷わず動物病院を受診するようにしましょう。
犬の救急症状: 歩行
急に真っすぐ歩けなくなる
脳の疾患やせき髄などの神経の疾患で急にまっすぐと歩けなくなることがあります。
小脳に異常がある場合も足を規則正しく動かせなかったりすることがあります。
症状が悪化していく時は、その原因となる病気が進行しているだけでなく、歩行困難で倒れてケガをするなどの二次被害にもつながります。
動物病院へ急行しましょう。
急に立てなくなる
体に力が入らずに自分で立てなくなった場合は、頸椎の椎間板ヘルニア、脊髄梗塞などが考えられます。
首の腫瘍が原因であることもあります。
早い処置をしないと、足の麻痺が残ったり自力で排尿ができなくなるなどの後遺症が残ることもあるため、すぐに受診しましょう。
犬の救急症状: 体温や呼吸
体が冷たく元気がない
体温が急激に下がると、心拍数が低下して意識がなくなり、命の危険に及ぶことがあります。
子犬やシニア犬などの体温調節が苦手な犬が長時間寒い場所にいた時や、甲状腺機能低下症を患っている犬は、低体温になりやすく注意が必要です。
体を温めつつ急ぎ受診して下さい。
耳や脚の付け根など、体が熱い
耳や内股、口の中を触った時に熱いと感じたら発熱しているサインです。
体内で炎症が起きていたり、感染症を発症していることもあります。
熱中症の危険性もあるため、動物病院へ急行しましょう。
何もしていないのに呼吸が急に速くなる
突然熱くなったり、激しい運動をした直後というわけではないのに、ハァハァと息苦しそうに呼吸をし始めたら呼吸器や心臓の異常である可能性があります。
充分に酸素を取り入れられずに息苦しくなっている可能性があり、急いで受診する必要があります。
救急症状に慌てないための準備をしておきましょう
かかりつけの動物病院、夜間救急病院の連絡先を登録しておく
家族全員がかかりつけの動物病院と夜間の救急病院の連絡先を登録しておきましょう。
特に救急病院は複数登録しておくと安心です。
近くに救急病院がない場合は、かかりつけの動物病院に手立てを事前に相談しておくとよいでしょう。
フードや薬などの情報をメモしておく
愛犬が普段食べているフードや薬、サプリメントなどの情報をメモしておきましょう。
救急時の診療の役に立つことがあります。
紙に書いて家族全員が分かる場所に保存しておくと安心です。
動物病院までの交通手段を予め決めておく
緊急時に自宅の車が利用できるとは限らず、そうした場合にはどのような交通手段で動物病院に急行できるか事前にシミュレーションしておくと安心です。
ペット乗車可能なタクシーなどの交通手段を予め検討し、電話番号を登録しておくとよいでしょう。
【 危険 】犬の救急症状|即動物病院へ まとめ
いかがでしたでしょうか。
愛犬が救急を必要とする症状になった場合、誰しも焦ってしまうと思います。
もし救急の症状が出た場合は、自己判断せずに動物病院へ連絡することが一番大切です。
また、『うちの子はよく下痢をするから』とか『よく吐いているから』といったような、愛犬に対する思い込みは注意が必要です。
本当に救急の症状が現れたとしてもそれは普段からよく見られることだから、と判断してしまって、命の危険に飼い主さんが気が付いてあげることができない可能性があるからです。
また、普段から愛犬の健康管理や見た目の状況に気を配ったり、病気のことについて勉強しておくといざという時に安心です。
記事の前編はこちらからご覧いただけます。
■ 【 危険 】犬の救急症状|即動物病院へ(前編)
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