日本では動物愛護法が改正されたり保護犬や保護猫の譲渡会が増えたりと、以前より少しずつではありますが動物たちに対する環境は改善の傾向にあるようです。
一方でまだまだペット後進国と言われる日本。
欧州はペット先進国と言われていますが、最近の世界のペット事情はどうなっているのでしょうか。
この記事では、世界のペット事情に関するトレンドをお伝えします。
世界のペット事情
海外ではペットの生体販売に関する規制が引き続き強化される傾向があります。
ペット先進国におけるブリーダーは、専門性の高い職業として資格や許認可が必要で、社会的地位も高く、違反時の重い罰則など法的整備も進んでいます。
フランスでは2024年から犬猫の店頭販売が禁止されることが決定し、欧米では街からペットショップが消えつつあります。
アメリカでは、シカゴやボストンなどの大都市をはじめとした278の自治体でペットショップ販売規制を実施しており、今後も増加していく見込みです。
2006年に販売目的で繁殖したペットの販売を規制したメキシコ州アルバカーキ市では、殺処分される犬猫が約35%減少したという実績が報告されています。
2017年にはカリフォリア州の州法が改正され、動物保護施設から入手した犬猫以外の、ペットショップでの販売が禁止されています。
カリフォルニア州は、全米で初めて州レベルでペットショップの販売規制を導入した事例となりました。
イギリスでは20世紀に制定された「犬の繁殖に関する法律」および「犬の繁殖と販売に関する法律」により、パピーミルの抑止が行なわれました。
このようなルールが設けられています。
・ 年間5匹以上の動物を出産するブリーダー、および頭数にかかわらず動物を売ることを生業としているブリーダーは所属する地域の管理局から免許を取得すること
・ 繁殖・取引の正確な記録を保管すること
・ 12ヶ月に満たないメスに出産させないこと
・ 犬は生涯6回までしか出産はさせてはならないこと
・ 一度出産すると、12ヶ月経たないと次の出産はしてはならないこと
また、2018年からは通称「ルーシー法」により、以下のような規定が追加されています。
・ 母犬を見せないと子犬を販売できない
・ 8週齢未満の子犬を販売してはいけない
・ 免許番号を公開せずに広告を出してはいけない
イギリスではペットショップの規制はありませんが、2018年に生後6か月未満の犬や猫の販売を禁止する方針を発表しています。
またイギリスでは2016年から、犬の福祉を目的としてマイクロチップの装着を義務づけています。
マイクロチップによって所有者不明の迷い犬が保護された場合も、飼い主のもとへ速やかに帰ることができます。
動物福祉先進国として知られるドイツでは、犬や猫は保護施設から譲り受けるという文化が浸透しています。
ドイツでは飼い主が守るべき飼育方法を「動物保護―犬に関する命令」という法律で規定しています。
以下は一部抜粋ですが、犬の飼育環境を具体的に規定しています。
・ 屋外での十分な運動、飼育者との十分な接触
・ 生後8週齢以下の子犬を母犬から引き離すことを禁止
・ 商業的に繁殖する場合は、犬10頭及びその子犬につき管理者1名を配置
・ 室内飼育の場合、自然採光と新鮮な空気を確保
・ 檻飼育の場合、檻の各辺長さは、体高の 2 倍以上とし、かつ、2mを下回らない
・ 基準に違反した場合、動物保護法の規定に基づいて罰金が科される
この法律は飼い主だけでなくペットショップにも適用され、間接的にペットショップでの犬の販売を規制しています。
また、ドイツではほとんどの市町村で犬税が導入されており、犬を飼うと毎年納税が必要です。
私たち日本も家族となるペットがその命を終えるまで、快適で適切な環境で愛情を持って飼い続けることができるのか、住環境やライフプラン、経済状況から冷静に判断する必要があります。
ペットを飼う前にはまず、犬や猫の殺処分の現状やペットショップの背景にある問題について目を向け、知識を深めることからはじめてみましょう。